EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
・移転価格担当責任者の76%(日本企業:85%)が、グローバルな税制改革の規模と複雑さに直面
・65%(日本企業:84%)が感じる重要なビジネス上の意思決定への関与不足
・58%(日本企業:46%)が移転価格に関するリスクのトップ3に挙げる新しい法制
EYは、最新のレポート「2021年度EY移転価格動向調査」を発表したことをお知らせします。本レポートによると、国際的な税制改革とCOVID-19パンデミックによって加速されたサプライチェーンの変革は、企業の移転価格部門にかつてないレベルの不確実性とリスクをもたらしています。
2021年度EY移転価格動向調査は、移転価格の役割と影響について考察しています。移転価格は世界中の企業にとって重要な税務部門であり、子会社間の国境を越えた支払い、不動産のリース、知的財産権のライセンスなど、企業内の取引を監督しています。
2年に1度のこの調査では、53の国・地域、25の産業分野にわたる979人の移転価格担当者の意見を聞いています。今回の調査では、最近の動向を受けて、移転価格担当役員の業務量が増加していることが明らかになりました。
回答者の76%(日本企業:85%)が、世界的な税制改革の規模と複雑さの問題に直面していると答えています。回答者の71%(日本企業:63%)は、これらの改革によって移転価格関連のコストが増加すると回答しており、30%(日本企業:26%)は今後3年間でコストが10%以上増加すると予測しています。
また、今回の調査では、移転価格担当者の58%(日本企業:84%)が、世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックから回復傾向にある中で、重要なビジネス上の意思決定に彼らが必要であると考えるほど関与していないと回答しています。このうち、24%(日本企業:21%)は一部の意思決定に関与しているが、すべての意思決定には関与していないと回答し、30%(日本企業:63%)は事後対応のみに関与していると回答しています。
移転価格リスクの上位3つの要因の1つとして、58%(日本企業:46%)が新しい法律や法律の改正を挙げており、そのうち25%(日本企業:18%)が最大の要因としています。
この調査によると、世界中のビジネスのダイナミクスの根本的な変化、特にサプライチェーンの再構築と労働形態の変化が、移転価格業務に実際の影響を与えるでしょう。調査回答者の61%(日本企業:32%)は、今後2年以内に、移転価格に対する組織のアプローチだけでなく、オペレーション、コンプライアンス、文書化などを変更するための措置を講じる可能性が高いと答えています。
回答者は、ビジネスモデルの変化(グローバル:52%、日本企業:37%)、サプライチェーン(グローバル:43%、日本企業:63%)、どこでも仕事ができる(グローバル:46%、日本企業:16%)、環境・社会・ガバナンス(ESG)への圧力(グローバル:36%、日本企業:21%)など、このような変更を促すさまざまな要因を挙げています。
EY Global Transfer Pricing LeaderのTracee Fultzは、次のように述べています。
「サプライチェーンは、市場からの圧力と新しい税法や規制の嵐によって緊張状態にあります。そのほとんどは、COVID-19のパンデミックによる問題から生じています。どこでも仕事ができるようになるなど、進化するデジタル・ビジネスモデルは、恒久的施設、実体、利益配分に関する新たな税務問題を引き起こします」
今回の調査では、企業がどこでも仕事ができるようになるにつれ、多くの回答者が、従業員が雇用されている国・地域外で足止めを受けることの影響を予想しています。47%(日本企業:79%)が現在すでにこれらの課題に直面しており、49%(日本企業:79%)が今後2年間に直面すると予想しています。さらに、75%(日本企業:89%)が移転価格に必要な人材を探すのが難しくなると答えています。
また、調査回答者の間では、より頻繁で厳格な調査が標準になるという意見もあります。65%(日本企業:89%)は、全体的に移転価格調査の件数が増加すると予想しており、53%(日本企業:63%)は移転価格文書のレビュー強化を予想しています。また、48%(日本企業:63%)は、多国間の問題やバリューチェーン全体を調査するような、より厳格な調査が一般的になると予想しています。
回答者にとって調査対象となる可能性が最も高いと考えられるのは、資産の所在地や所有権そしてリスク統制などの知的財産関連事項(グローバル:38%、日本企業:63%)、恒久的施設(グローバル37%、日本企業:47%)、本社および管理サービス取引(グローバル:36%、日本企業:32%)などです。
EY Global International Tax and Transaction Services LeaderであるJeffrey Michalakは、次のように述べています。
「COVID-19のパンデミックは、ビジネスモデル、特にサプライチェーンだけでなく、働き方やESGにも深刻な混乱をもたらしました。このような傾向は、移転価格の問題をはじめとして、税金面でも大きな影響を及ぼしています。このような影響に対処するためには、移転価格担当役員は、ビジネスとの連携を強化し、移転価格の機能を合理化し、デジタルモデルを採用しなければなりません」
EY税理士法人 移転価格アドバイザリー部リーダーである須藤 一郎は、次のように述べています。
「日本企業は、移転価格について文書化やAPA(事前確認)により税務係争のリスクを回避していますが、BEPS(税源浸食と利益移転)を背景としたグローバルな税制改革等への対応について、欧米企業と比較して、準備が遅れている状況にあります。また、コロナ禍を契機とした各国財政赤字の深刻化から、各国当局による税収争奪が深刻化し、サプライチェーンでの二重課税リスクが多国間で高まってきていることから、グローバルでの税務ガバナンスやICAP(国際的コンプライアンス保証プログラム)等によるマルチでの税務係争リスク回避が一層求められています」
本サービスの詳細は以下よりご覧ください。
移転価格の変革に学ぶ姿勢は税務リスク管理にどう役立つか
※本プレスリリースは、2021年10月4日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
Global tax reforms and COVID-19 pandemic supply chain pressures fuel uncertainty for businesses’ transfer pricing functions
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