ニュースリリース
2023年1月17日  | Tokyo, JP

EY Japan、データサイエンス活用で株式会社タウの損害車リユース・リサイクル事業の非財務価値の定量評価を支援

・ライフサイクルアセスメントにより、CO2排出削減貢献度を定量化
・計量経済学の知見を活用し、社会的な価値を定量化
・社会・環境価値の定量化により、ステークホルダーがクライアントのサステナビリティ取り組みをより理解できるよう支援

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡、以下EYSC)は、データサイエンスチームがライフサイクルアセスメント*1や計量経済学*2における知見を用いて、事故や災害などにより損壊した車両の買い取りやリユース・リサイクルなどを手掛ける株式会社タウ(本社:埼玉県さいたま市、代表:宮本 明岳、以下タウ社)の事業が創出する環境価値・社会価値の定量化を支援したことを発表します。

*1ライフサイクルアセスメント:商品の原料調達から、生産・流通・廃棄・リサイクルまでにおける環境負荷を定量的に算出するための手法
*2計量経済学:経済関連データを対象とし、統計手法を用いて経済的関係性を実証・分析する学問領域

本支援を行ったEYSCのデータサイエンスチームは、統計・機械学習、計算機科学、経営工学、計量経済学などデータに基づいた意志決定を行うデータサイエンス関連分野における研究経験をもつメンバーで構成され、高度な分析を活用してビジネスの意思決定を支援するチームです。このたび、計量経済学などを用い、タウ社の非財務情報開示をより効果的にするための「CO2排出削減量の評価モデル」および「社会価値評価モデル」を構築し、定量化を支援しました。

クライアントおよび背景

タウ社は、「価値があるのに見捨てられているクルマを買い取り、必要とされる場所で活かしたい」という思いで創業された企業です。日本では交通事故や災害などにより損壊した車両(損害車)を損害状況に応じた最適な利用方法を判定してリユース・リサイクルする「カー・トリアージ」の実践を基幹事業としています。

近年、企業のサステナビリティに関する取り組みや活動情報など非財務情報発信の機運が高まっています。タウ社はカー・トリアージのもたらすCO2排出削減効果などの環境価値、および、新興国の経済発展への寄与度における社会価値をステークホルダーにとってより理解しやすい形で示すことにより、ステークホルダーの事業への理解を促進しようと各価値の定量評価を試みていました。


支援概要

1)カー・トリアージにおけるCO2排出削減量のライフサイクルアセスメント
タウ社の推進するカー・トリアージでは損害車の修復や部品・素材の再利用を促進することにより、CO2を大量に排出する新車の製造や部品・素材の新規生産の削減に貢献します。このたび、本事業がCO2排出にもたらす影響を定量化するため、ライフサイクルアセスメントモデルを構築し、本事業の上流・下流を含めたライフサイクルでのCO2排出削減への貢献度を定量化しました。また、ステークホルダーにとってより理解しやすい結果の見える化を目的に、一般的な乗用車1台を新車ではなく再生車に変更した場合、平均的にどの程度のCO2削減を実現しているかを試算しました。

図1:カー・トリアージ事業のライフサイクルアセスメントモデル(概要)

2)カー・トリアージのもたらす社会価値の定量評価
タウ社のカー・トリアージは、新車より安価な損害車を輸出することで、新興国における自動車の普及を加速させ、モータリゼーションの進展に貢献しています。本プロジェクトでは、統計学・計量経済学の研究経験を持つメンバーを有するEYSCのデータサイエンスチームの支援により、タウ社の損害車主要輸出先であるモルディブを対象に、損害車輸出による失業率の改善度合い、一人あたりGDPの増加幅を定量評価しました。本プロジェクトでフォーカスした各国の失業率・GDP、およびタウ社の損害車輸出量は、さまざまな要因が相互に影響しあって変化するため、一般的な集計のみでは正確に定量評価を行うことは困難です。本プロジェクトでは、計量経済学の手法を用いることにより、信頼性のある社会価値の定量化を行うことに成功しました。

図2:カー・トリアージ事業の社会価値算出ステップ(概要)

EYSCデータサイエンスチームは、各種領域での研究を通じた知見と経験を活かし、企業価値の向上に結び付くビジネス課題解決を引き続き支援していきます。

株式会社タウ 代表取締役社長 宮本 明岳氏のコメント:
当社は創業から26年間、「世界最大の総合リサイクル商社」を目指し、損害車の循環型ビジネスを推進してまいりました。今回の共同研究では、損害車のリユース・リサイクルが及ぼすCO2排出削減効果や新興国における社会価値が定量化されました。この研究成果に基づき、1台でも多くの損害車が適切な処理がなされる世界を目指し、21世紀の産業廃棄物を22世紀の資源とするべく、カーボンニュートラルに貢献して参ります。

EYSC データサイエンスリーダー アソシエートパートナー 小林 元のコメント:
近年、サステナビリティ関連の情報開示が進んでいる中で、その効果を定量的に評価する取り組みは依然として十分に進んでいるとは言い難い状態が続いています。今回の支援では、タウ社とEYSCのデータサイエンスユニットが協力することで、社内外のデータを活用した高度なアナリティクスにより環境価値・社会価値といった非財務的な企業価値の定量的な評価を実現することにつながりました。今後も弊社のデータサイエンスの知見を生かし、同社のさらなる発展へ向けた支援を続けてまいります。

EYのデータサイエンスについては下記をご覧ください。
データサイエンス


株式会社タウについて
日本では、年間約300万台もの廃棄車両が発生しています。当社は、このような産業廃棄物となり得る損害車を国内で買い取り、独自に構築したインターネットシステムを通じて世界120ヵ国以上へ販売しています。
当社は、「Globaloop Company」というスローガンを掲げ、世界規模での損害車リユース事業を通じて、価値があるのに不要とされるモノを必要な人へとつなげモノの命を循環させる、「循環型社会」の実現を目指しています。www.tau.co.jp/

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