EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
本稿の執筆者
EYブラジル サンパウロ事務所 矢萩 信行
主に多国籍企業に対する国際財務報告基準(IFRS)、米国会計基準(USGAAP)、日本会計基準(Japan GAAP)に基づく財務諸表監査、IFRSコンバージョン、USSOX・J-SOX等、アシュアランス業務に従事。2022年7月よりEYブラジル サンパウロ事務所においてアシュアランスパートナーとして現地日系企業に監査・会計アドバイザリー業務を提供するとともに、税務、アドバイザリー、法務業務支援も提供。
要点
多国籍企業の海外投資において、今後さらなるブラジル投資を促進するため、ブラジル進出企業にとって移転価格税制は長年の課題となっていました。経済協力開発機構(OECD)ガイドラインに整合した新たな移転価格税制の導入を目的として、ブラジル連邦国税庁(RFB)とOECDとの間での数年間にわたる共同作業がなされ、2022年12月29日にブラジル政府は、新移転価格税制の導入に関する暫定措置令第1,152号(PM 1,152/22)を発表しました。
暫定措置令は、大統領によって署名および発行される法令の一種であり、法律として制定されるためには、発行から60日以内(さらに60日延長可能)に議会によって承認される必要があります。
ブラジル大統領府の事務局長が明示したように、当該措置令の発行は、現行のブラジル移転価格税制における既存の相違点と弱点、および当該法律の不整合とOECDによって制定された最低基準との相互関係に起因しています。当該暫定措置令は、①ブラジルで事業を営む納税者の事業環境②ブラジルのグローバル・バリュー・チェーンへの参入および③効果的な税の徴収に影響を与えます。
当該新移転価格税制は、次の目的を達成するために導入されます。
ブラジルの移転価格税制の改正は、ブラジルで事業を営む多国籍企業にとって、今後のブラジルでの事業戦略の策定に重要な影響を及ぼすことになるでしょう。この新たな移転価格税制がブラジル議会で承認されるかどうかを注視するとともに、ブラジルに進出している多国籍企業は当該改正が事業に与える潜在的な影響を評価し、ブラジルの事業戦略を立案・構築していく過程において、最良のビジネスモデルを検討し、実行していくことが、将来的にブラジルで事業活動を行う上で、さらに重要になっていくでしょう。
(注)本稿は2023年4月21日時点の情報に基づいて執筆しています。
2022年12月29日にブラジル政府は、新移転価格税制の導入に関する暫定措置令第1,152号(PM 1,152/22)を発表しました。ブラジルで事業を営む多国籍企業にとって、事業戦略の策定に重要な影響を及ぼすことになる移転価格税制の改正について解説します。
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