国内市場と海外のどちらで上場するかを迷ったら

国内市場と海外のどちらで上場するかを迷ったら


資本市場、証券取引所、そして上場区分。自社を上場するときの正しい選択肢は?

IPOの準備を進める際に下さなければならない最も重要な決定は、貴社の戦略を最もしっかりと支えてくれる資本市場あるいは上場ゾーン、証券取引所、上場セグメントを決めることです。正しい選択肢を選ぶことによって、貴社が満たさなければならない規制上の要件を判断することができます。貴社にとって海外でのIPOが有効な選択肢である場合は、IPOを目指す取引所の評価が、総合的なIPOレディネスアセスメントに含まれることになるでしょう。


国内か海外か

季刊リポートの「Global IPO trends(グローバルIPOトレンド)」のために私たちが収集したデータを見ると、長期的平均では発行人の90%以上が国内の証券取引所で上場していることがわかります。ただし、これらの企業が海外で同時に上場することもありえます。

その企業が設立された国をホームマーケットと考えるケースがほとんどです。これは一般に企業が上場する場所であり、投資家が上場を期待する場所でもあります。企業は本国の経済、文化、インフラ、技術基盤、租税と深く結びついています。また、その資本市場の規制にも従わなければなりません。

しかし、人々が自社のビジネスモデルを深く理解し、高く評価してくれる市場がその企業のホームグラウンドだと言うこともできます。つまり、同じような企業が多数上場していて、セクター専門のアナリストの専門知識があり、そのセクターの投資家が魅力を感じる市場をその企業のホームマーケットと考えてもよいでしょう。

海外で上場し、注目を浴びる企業の事例が最近増えています。さらに、セカンダリー上場が再び増加しています(ただし、これには別の動機が存在します)。また、特に新興市場においては、追加の株式上場も次第に重要になってきました。

 

自社の選択肢とその選択肢が持つ意味を理解する

資本市場、証券取引所、上場セグメントを適切に選択することによって、自社が上場会社として満たさなければならない規制要件を判断することができます。上場にこぎ着けるには、社内構造(法務、税務、組織)と事業部門(経営、会計、IR)をチェックし、適用される要件に備えなければなりません。

このほか、企業を本国市場外での上場に向かわせる要因は、その企業が設立された国によって異なります。上場手続きの不透明さ、目論見書承認手続きや証券登録の待ち時間・処理時間といった要因が考えられます。

海外での上場によって、貴社の製品に消費者の関心が集まったり、メディアへの露出が増えたりする可能性もあります。これにより新しい市場へのアクセスが容易になり、貴社の事業運営にプラスになるかもしれません。そして、貴社の評価額にも影響する可能性が高いと思われますが、初期コストや継続的コストへの影響も否めません。

さらに、貴社の株主には当然それぞれの考えがあるでしょう。


株式公開の手引き

IPO実施前、IPO実施中、IPO実施後の戦略的検討事項


的確に動く

上場を希望する企業にとって全ての条件がそろう地域はEMEIA、アジア太平洋、米州の三つです。しかし企業は、全世界に100以上ある証券取引所と上場オプションから選択することが可能です。成熟市場と新興市場の多くの証券取引所が、上場を目指す企業に提示する条件を改善しました。ですから、貴社が目標を達成する上で最も理にかなう上場場所を比べて回ることには、意義があると思われます。

次のような疑問点を検討しましょう。

  • 上場すること、そして会社を設立した国でのプライマリー上場は理にかなっているか。
  • それとも、さらに遠方での上場を目指すべきか。
  • 資本市場において、貴社はどの程度、機動性を持っているか。

特に、慣れ親しんだ国内市場から遠く離れた場所での上場が貴社に戦略的メリットをもたらすことがわかった場合、これらの質問への答えを見つけるのは手のかかる難しい仕事になるかもしれません。私たちのIPOデスティネーション・コンパスは、貴社が検討すべきその他の重要課題の特定をお手伝いします。また上場ガイドは、プランニングからローンチ後まで、複雑なIPOプロセス全体を貴社がうまく進めるようにサポートすることを目的としています。



サマリー

ほとんどの企業は設立された市場で上場しますが、それが唯一の選択肢ではありません。資本市場、証券取引所、上場セグメントを適切に選択することによって、貴社が満たさなければならない規制要件を判断することができます。また正しい選択は、貴社の長期戦略の成否に大きく影響する可能性があります。


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