EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
IFRS第17号の報告要件を満たすためのソリューションを実装した世界中の多くの保険会社は、報告機能と内部統制を最適化、自動化、簡素化、改善に注力しています。これらの戦略的取り組みは、戦術的ソリューションによってもたらされた技術的負債に対処し(例:IFRS第17号の適用期限に間に合わせるために一部をマニュアルに依拠した戦術的ソリューションと自動化された戦略的ソリューションとの間のギャップを解消し)、新たなオペレーティングモデルを定着させ、報告結果と分析を提供しています。先行する保険会社はIFRS第17号の適用のためにチームや組織、プロセスおよびデータに大幅な変更を加えましたが、多くの保険会社ではいまだ将来に向けて持続可能な財務オペレーティングモデルを構築できていません。そのため、報告プロセスの効率性、有効性、内部統制に対処するための明確な計画が必要となります。
これらの取り組みは、財務およびリスク部門がIFRS第17号への大規模な投資から成果を得るための必要な変化の一部であり、決算スケジュールの短縮、内部統制の最適化、主要業績評価指標(KPI)に関する報告の強化、より正確で洞察力に富んだ財務計画・分析(FP&A)など、より業績に関連した目標に向けたものです。同時に、財務部門とリスク部門のリーダーは、業務効率の向上、コストの削減、新たな価値創造能力の構築という課題に直面しています。
優先課題は保険会社によって異なりますが、多くの企業に共通するテーマは以下の4点です。
レポートの全文は、「How addressing your post-IFRS 17 priorities can support the strategic direction of finance(PDF、英語版のみ)」をご覧ください。
日本においてはIFRSの適用が任意であることから、IFRS17の適用事例はいまだ少数にとどまっています。一方、海外子会社におけるIFRS17号の適用、経済価値ベースのソルベンシー規制の導入、経済価値ベースによる経営管理の推進等経済価値ベース指標の重要性は高まっています。
本邦保険会社が将来的なIFRS適用を検討するにあたっては、欧州等のIFRS17号適用事例を参考にし、ミニマムコンプライアンス(基準への最低限の準拠)のみでなく、社内外に有用な業績指標の定義と管理体制の構築、ビジネスへのインサイトの提供方法等を踏まえたロードマップを策定することが有用でしょう。
このレポートでは、世界中の保険会社が採用しているさまざまな戦略とソリューションについて説明し、以下の3つの分野に焦点を当てています。