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2023年の逆風
金利上昇により借入可能枠が縮小し、住宅流通が減少しているため、住宅購入意欲は低下しています。住宅市場の動向はしばしば景気を大きく左右する要因であり、他のどの州都よりも住宅価格の下落が激しいシドニーでは10%下落しており、ニュー・サウス・ウェールズ州内においては、個人消費が最も急速に冷え込む可能性があります。ブリスベンとメルボルンの住宅価格(いずれもピーク時から6%下落)も同様です。アデレードやパースといった人口の少ない都市の住宅価格は、わずかな下落にとどまっています。
住宅価格の下落に伴い、全国的に家賃が上昇しており、これも一部世帯における今後1年間の裁量的支出を鈍化させる要因となっています。賃貸料は、全州都で平均すると2桁の伸び(年率ベース)であり、ユニットは20%以上、戸建ては18%上昇しています。パースとアデレードの賃貸市場の状況は非常に厳しく、10月の空室率はわずか0.4%でした。
パースのように、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中、州政府の建設奨励金が非常に手厚かった州都を筆頭に、新築住宅の建設は急速に回復していますが、少なくとも今後1年程度は住宅供給が増加する可能性は低いと思われます。建設業界は、資材やスキル人材の不足に悩まされていますが、パンデミック時に州や特別地域のすべてが直面したこの問題は、発注に要する期間が正常化し、輸送運賃が低下するにつれて緩和されてきたようです。
洪水の発生においては、家屋やインフラの再建が必要となるため、最終的には経済活動の活発化につながるでしょう。しかし、短期的には、サプライチェーンや輸送インフラの断絶、農産物の被害などに影響が出ると思われます。これらの供給サイドの問題により、ニュー・サウス・ウェールズ州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、ビクトリア州では生産が低下し、それが一時的にインフレ率を押し上げる可能性が高くなります。
同国の貿易相手国において23年に予想される経済成長の鈍化と景気後退は、西オーストラリア州とクイーンズランド州の貿易セクターに最も影響を与えるでしょう。両州の輸出実績は、過去2年間のコモディティ価格の高騰と輸出量の顕著な増加により非常に好調でしたが、今後この傾向はより緩やかになると予想されます。