オーストラリア四半期経済アップデート(2021年第4四半期):消費者が回復の鍵となる

オーストラリア四半期経済アップデート(2021年第4四半期):消費者が回復の鍵となる


オーストラリアの景気は再び回復力を見せており、消費者が景気回復の鍵となるでしょう。


要点

  • 9~12月四半期のGDPデータは、オーストラリア経済の回復力を改めて示すものであり、消費者が回復の鍵となっている。
  • 今後、インフレと金利の上昇に家計がどう反応するかは、経済の原動力である消費者にとって非常に重要である。


EY Oceania Chief Economistより

オーストラリアの景気は再び回復力を見せており、消費者が景気回復の鍵となるでしょう。デルタ株によるロックダウンが終わり、経済活動は回復したため、実質GDP成長率は前期比3.4%、前年同期比では4.2%と上昇しました。GDPの伸びを支えたのは家計消費と在庫増加ですが、投資、建設、貿易、政府支出が経済成長に寄与していないわけではなく、その回復軌道が平たんではないことを示しています。

実際、民間投資の見通しは明るく、住宅建設の未着工のパイプラインは過去最高水準を記録しています。企業投資のファンダメンタルズはここ数年で最も強く、景況感、非鉱業会社の収益、信用供与の伸び、設備投資計画はすべて好調です。

私たちは再び経済のさまざまな課題を抱えて2022年を迎えました。同時に、オーストラリアの企業は、必要な労働力をいかに確保するか、それが賃金上昇を意味するのかについて懸念しています。また、サプライチェーンの混乱と投入コスト上昇をいかに管理するか、先行受注とマージンがインフレと金利上昇によりどのような影響を受けるかについても課題となっています。要するに、これらの質問はすべて経済が好調なときに問う内容なのです。

経済成長は、家計と企業の強固なバランスシートに支えられた民間部門によってけん引されています。1~3月期の経済活動は、オミクロン株の流行、洪水、地政学的事象から打撃を受けていますが、経済の基盤は強固であり、雇用が豊富に創出される環境の中で回復が続くと予想されます。失業率は50年ぶりの低水準まで低下し、完全雇用を達成する可能性があります。

とはいえ、インフレは明らかに上昇中であり、GDPデータがそれをさらに証明する結果となりました。国内物価は1.1%上昇し、四半期ベースで2008年以来最も速いペースで上昇しています。インフレの圧力は住宅建設に顕著に見られ、建設コストはGST(商品サービス税)導入以来最も速いペースで上昇し、四半期で3.2%、年間では8.2%増加しました。インフレは輸入にも及んでいます。輸入物価は7.8%上昇し、世界経済危機以降で最も速い上昇率となりました。


インフレと金利の上昇に家計がどう反応するかは、経済の原動力である消費者にとって非常に重要です。家計では蓄えが豊富にあり、消費意欲が旺盛なのは間違いありません。可処分所得の減少と支出の増加により、家計貯蓄率は19.8%から13.6%に低下しました。今後、消費者が貯蓄をどこまでするかが重要であり、それは消費者の購買意欲にかかっています。労働市場の力強さと雇用安定度の高さは、消費者マインドに影響を与えるいくつかの要因に対して、前向きに作用してくれるはずです。


3月初め、オーストラリア準備銀行は労働コストについてより広範な指標に焦点を移したため、GDPデータの所得の側面はこれまで以上に注目するに値します。被雇用者の報酬は2.0%増加しましたが、時間給では3.2%減少しました。これは、ロックダウンの緩和により、主に低賃金の仕事の回復が後押したためです。このような新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けたデータがある一方で、賃金上昇に関する話が相次いでいるため、オーストラリア準備銀行にとっては先行き不透明な状況が続いています。そのため辛抱強く、データがより明確になるのを待つと見ています。このサイクルの最初の利上げ時期については多くの議論がありますが、家計と企業にとっての真の問題は金利がいつピークを迎えるかということです。


四半期経済アップデート(2021年第4四半期)

消費者が回復の鍵となる


サマリー

9~12月四半期のGDPデータは、オーストラリア経済の回復力を改めて示すものであり、消費者が回復の鍵となっています。デルタ株の影響で経済が停滞した後、経済活動は回復し、実質GDP成長率は前期比3.4%、前年同期比では4.2%拡大しました。しかし、その背景には、家計消費と在庫増加による成長があります。今後、インフレと金利の上昇に家計がどう反応するかは、経済の原動力である消費者にとって非常に重要です。


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