EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 須賀 勇介
Question
2023年3月期決算に係る有価証券報告書におけるグループ通算制度を適用している旨の開示状況を知りたい。
Answer
【調査範囲】
- 調査日:2023年8月
- 調査対象期間:2023年3月31日
- 調査対象書類:有価証券報告書
- 調査対象会社:以下の条件に該当する2,550社
① 3月31日決算である
② 2023年6月30日までに有価証券報告書を提出している
③ 日本基準を適用している
【調査結果】
令和2年度税制改正により従来の連結納税制度が見直され、2022年4月1日以後に開始する事業年度からグループ通算制度に移行された。
調査対象会社(2,550社)について、提出会社又は連結子会社がグループ通算制度を適用している旨の開示状況を調査した。2022年3月期決算までの連結納税制度の適用に関する開示状況の推移と比較した調査結果は、<図表>のとおりである。過去推移において、連結納税制度を適用している会社の割合は徐々に増加していたが、近年においては、連結納税制度を適用している会社の割合はほぼ横ばいになっており、2023年3月期決算よりグループ通算制度が原則適用になったが、適用会社数は従来の連結納税制度と比べて増えていないことがわかる。
<図表> 連結納税制度・グループ通算制度を適用している旨の開示状況―過去推移
適用会社数 | 全会社数 (注1) |
適用割合 (注2) |
||
連結納税制度 | グループ通算制度 | |||
2013年3月期 | 352社 | ― | 2,797社 | 12.6% |
2014年3月期 | 395社 | ― | 2,754社 | 14.3% |
2015年3月期 | 421社 | ― | 2,720社 | 15.5% |
2016年3月期 | 451社 | ― | 2,695社 | 16.7% |
2017年3月期 | 455社 | ― | 2,672社 | 17.0% |
2018年3月期 | 473社 | ― | 2,666社 | 17.7% |
2019年3月期 | 498社 | ― | 2,632社 | 18.9% |
2020年3月期 | 504社 | ― | 2,602社 | 19.4% |
2021年3月期 | 543社 | ― | 2,590社 | 21.0% |
2022年3月期 | 544社 | ― | 2,570社 | 21.2% |
2023年3月期 | ― | 543社 | 2,550社 | 21.3% |
(注1)対象は、筆者執筆時点の3月期決算のすべての有価証券報告書提出会社。2023年3月期は、提出日2023年6月30日時点までを集計。
(注2)2022年3月期までは連結納税制度、2023年3月期はグループ通算制度の適用割合。
(旬刊経理情報(中央経済社)2023年9月20日号 No.1688「2023年3月期「有報」分析」を一部修正)
この記事に関連するテーマ別一覧
2023年3月期 有報開示事例分析
- 第1回:総会前提出 (2023.11.20)
- 第2回:コーポレート・ガバナンスの状況等①(取締役会及び監査役会等の記載状況) (2023.11.21)
- 第3回:コーポレート・ガバナンスの状況等②(内部監査の状況) (2023.11.22)
- 第4回:コーポレート・ガバナンスの状況等③(株式の保有状況) (2023.11.24)
- 第5回:コロナ/ロシア・ウクライナ関連開示 (2023.11.27)
- 第6回:時価算定適用指針(改正適用指針) (2023.11.28)
- 第7回:グループ通算制度に関する注記 (2023.11.29)
- 第8回:グループ通算制度を適用している会社 (2023.11.30)
- 第9回:グローバル・ミニマム課税制度 (2023.12.01)
- 第10回:早期適用した会計基準(電子記録移転有価証券表示権利等) (2023.12.04)
- 第11回:未適用の会計基準等に関する注記 (2023.12.05)
- 第12回:2年目の収益認識注記開示分析①(重要な会計方針の注記、収益を理解するための基礎となる情報) (2023.12.06)
- 第13回:2年目の収益認識注記開示分析②(収益の分解情報) (2023.12.07)
- 第14回:2年目の収益認識注記開示分析③(当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報) (2023.12.08)