EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 兵藤 伸考
Question
平成30年3月期決算に係る有報の「ストック・オプション制度の内容」について、有報の一体的開示の取組による記載状況を知りたい。
Answer
(1) 参照状況の分析
【調査範囲】
- 調査日:平成30年8月
- 調査対象期間:平成30年3月31日
- 調査対象書類:有価証券報告書
- 調査対象会社:
平成30年4月1日現在のJPX400に採用されている会社のうち、以下の条件に該当する100社
① 3月31日決算
② 平成30年7月2日(法定提出期限)までに有報を提出している
③ 連結財務諸表を作成している
④ 日本基準を適用
⑤ 事業年度の末日にストック・オプションを発行している
【調査結果】
対象会社100社のうち「ストック・オプション制度の内容」について財務諸表注記を参照している会社は14.0%(14社)であった。
財務諸表注記を参照する場合には開示府令第2号様式において記載が求められる項目を追加で記載する必要があるため、 注記において前期の記載を踏襲した事例が多かったものと考えられる。
(2) 省略状況
【調査範囲】
- 調査日:平成30年8月
- 調査対象期間:平成30年3月31日
- 調査対象期間:有価証券報告書
- 調査対象会社:平成30年3月期決算の有報提出会社のうち日本基準適用会社2,267社
【調査結果】
対象会社のうち、「ストックオプション制度の内容」において財務諸表注記を参照している会社は89社であった。
そのうち、すべての項目を参照している事例は73社(82.0%)であり、一部の項目を参照している事例は16社(18.0%)であった。
事業年度末日までに付与されたストックオプションの項目について財務諸表注記を参照し、事業年度末の翌日以降に付与されたストックオプションの開示を「ストックオプション制度の状況」に記載する事例が多くみられた。
(旬刊経理情報(中央経済社) 平成30年9月20日号 NO.1523「平成30年3月期『有報』分析」を一部修正)
この記事に関連するテーマ別一覧
平成30年3月期 有報開示事例分析
- 第1回:定率法から定額法への変更 (2018.12.19)
- 第2回:連結納税制度 (2018.12.19)
- 第3回:決算期変更 (2018.12.19)
- 第4回:税効果会計一部改正の早期適用 (2018.12.19)
- 第5回:米国税制改革 (2018.12.19)
- 第6回:総会前提出 (2018.12.19)
- 第7回:非財務情報(MD&A) (2018.12.19)
- 第8回:未適用の会計基準等の注記 (2018.12.19)
- 第9回:ストックオプション制度の内容等 (2018.12.19)
- 第10回:会計計算規則に規定されていない注記の開示状況 (2018.12.19)