EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 兵藤 伸考
Question
平成30年3月期決算に係る有報の「未適用の会計基準等の注記」の開示状況を知りたい。
Answer
【調査範囲】
- 調査日:平成30年8月
- 調査対象期間:平成30年3月31日
- 調査対象書類:有価証券報告書
- 調査対象会社:
平成30年4月1日現在のJPX400に採用されている会社のうち、以下の条件に該当する232社
① 3月31日決算
② 平成30年7月2日(法定提出期限)までに有報を提出している
③ 連結財務諸表を作成している
④ 日本基準を適用
【調査結果】
(1) 未適用の会計基準等の注記の開示状況
平成30年3月期決算の有報において未適用の会計基準等の注記の開示状況を分析した結果は、<図表1>のとおりである。
税効果適用指針等について注記を記載している事例はおおよそ半数である42.2%であった。収益認識会計基準等について注記を記載している事例は88.8%であり、ほとんどの会社が注記を行っていた。
なお、注記を記載していない29社のうち、15社の業種は「銀行業」、「保険業」及び「証券、商品先物取引業」(いわゆる金融機関)であった。
<図表1> 未適用の会計基準等に関する注記の開示状況
記載項目 |
会社数 | 比率 |
税効果適用指針等 |
98社 | 42.2% |
収益認識会計基準等 | 203社 | 88.8% |
有償ストック・オプションの会計処理等に係る実務対応報告 | 3社 | 1.3% |
仮想通貨の会計処理等に係る実務対応報告 | - | - |
在外子会社の会計基準(IFRS) | 16社 | 6.9% |
(2) 収益認識会計基準等の適用予定日の記載状況
収益認識会計基準等について注記している203社について適用予定日を分析した結果は、<図表2>のとおりである。
原則適用となる平成34年3月期決算に適用予定である事例は169社と多数であったが、平成33年3月期までに早期適用を予定している事例が7社みられた。
<図表2> 収益認識会計基準等の適用予定日の記載状況
適用予定時期 | 会社数 | 比率 |
平成31年3月期 |
1社 | 0.5% |
平成32年3月期 | 2社 | 1.0% |
平成33年3月期 | 4社 | 2.0% |
平成34年3月期 | 169社 | 83.3% |
検討中又は未定 | 20社 | 9.9% |
IFRS任意適用予定 | 7社 | 3.4% |
合 計 |
203社 | 100.0% |
(旬刊経理情報(中央経済社) 平成30年9月20日号 NO.1523「平成30年3月期『有報』分析」を一部修正)
この記事に関連するテーマ別一覧
平成30年3月期 有報開示事例分析
- 第1回:定率法から定額法への変更 (2018.12.19)
- 第2回:連結納税制度 (2018.12.19)
- 第3回:決算期変更 (2018.12.19)
- 第4回:税効果会計一部改正の早期適用 (2018.12.19)
- 第5回:米国税制改革 (2018.12.19)
- 第6回:総会前提出 (2018.12.19)
- 第7回:非財務情報(MD&A) (2018.12.19)
- 第8回:未適用の会計基準等の注記 (2018.12.19)
- 第9回:ストックオプション制度の内容等 (2018.12.19)
- 第10回:会計計算規則に規定されていない注記の開示状況 (2018.12.19)