ウェブ開示の範囲拡充に関する会社法施行規則等の改正のポイント

2022年2月9日
カテゴリー 会計情報トピックス

公認会計士 宮﨑 徹

法務省令第45号が2021年12月13日に公布・施行

令和3年法務省令第45号「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」が2021年12月13日に公布され、同日付けで施行されています。

1. 本改正の趣旨

本改正は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、事業報告に表示すべき事項の一部並びに貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項をいわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象とするため以下の規則を改正するものです。

  • 会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)
  • 会社計算規則(平成18年法務省令第13号)

2. 改正の内容

インターネット上のウェブサイトに掲載し、そのウェブサイトのURL等を株主に通知すれば、当該事項に係る情報が株主に提供されたものとみなす、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象に以下を追加するとともに、この場合には、取締役は、株主の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならないものとされています(会社法施行規則第133条の2、会社計算規則第133条の2)。

  • 事業報告に表示すべき事項の一部
  • 貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項

本改正は、上記同様、ウェブ開示によるみなし提供制度の対象の追加等を規定した令和3年法務省令第1号「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令e-Govウェブサイトへが2021年9月30日に失効したことを受けて、同様の規定を延長するものです。

3. 株主の利益への配慮

本省令では、改正前の会社法施行規則及び会社計算規則においてはウェブ開示によるみなし提供制度の対象とされていなかった事項についてウェブ開示をする場合には、株主の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならないこととされています(会社法施行規則第133条の2第4項、会社計算規則第133条の2第4項)。

どのように株主の利益に配慮するかについては、各社が置かれた個別具体的な事情を踏まえた各社の判断によることとなりますが、例えば、次に掲げるような方法をとることが考えられます(「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」 に関する意見募集の結果について 第3 1)。

(1)当該事項について、できる限り早期にウェブ開示を開始すること
(2)できる限り株主総会までに当該事項を記載した書面を株主に交付することができるように、ウェブ開示の開始後、準備ができ次第速やかに、当該事項を記載した書面を株主に送付すること。又は、株式会社に対して当該事項を記載した書面の送付を希望することができる旨を招集通知に記載して株主に通知し、送付を希望した株主に、準備ができ次第速やかに、当該事項を記載した書面を送付すること
(3)株主総会の会場に来場した株主に対して当該事項を記載した書面を交付すること

4. 適用時期及び失効

公布の日(2021年12月13日)から施行されています。

本省令により改正される会社法施行規則及び会社計算規則の規定は、2023年2月28日限り、その効力を失うものとされています。ただし、同日前に招集の手続が開始された定時株主総会に係る事業報告及び計算書類の提供については、なおその効力を有するものとするとされています。

なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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