EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
当法人ウェブサイト内の「企業会計ナビ」が発信しているナレッジの一つである解説シリーズを取り上げ、紹介します。今回は「解説シリーズ「継続企業の前提に関する開示」」の一部を編集し、紹介します。
企業の作成する財務諸表は、企業が予測し得る将来にわたって継続して事業活動を行う継続企業の前提に基づいていますが、企業はさまざまなリスクにさらされて事業活動を営んでおり、将来にわたって事業活動を継続できるかどうかは確実なものではありません。
そこで、貸借対照表日において、単独で又は複合して継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、下記のステップに従い継続企業の前提に関する事項を財務諸表に注記することとされています(<図1>参照)。
単独で又は複合して継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の具体的な例として、<表1>の項目が挙げられています(監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」以下、監保報74号)。
前述の項目は例示列挙であり、実際には企業の規模や業種、金額的重要性や質的重要性を加味して判断すべき事項もあります。
<Step1>
前述の例示項目が発生した場合には、当該事項が、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当するかどうかを検討する必要があります。これらの例示項目は、単独で発生するとは限らず、複数の項目が密接に関連して発生することも多く、継続企業の前提の評価の過程においては総合的に判断する必要があります。
<Step2>
Step1の判断の結果、当該事象又は状況が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当する場合、次にこれを解消し、又は改善するための対応策を検討する必要があります。
<Step3>
重要な不確実性が貸借対照表日後も残っている場合には、継続企業の前提の注記を行うことになります。なお、貸借対照表日後において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が解消し、又は改善したため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなくなったときには、継続企業の前提に関する注記を行う必要はありません。この場合には、当該継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消し、又は改善するために実施した対応策が、後述Ⅲ 2.の重要な後発事象として注記対象となることも考えられます。
継続企業の前提に関する注記を行う場合、次の事項を財務諸表に注記することとされています(監保報74号7)。
① 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する旨及びその内容
② 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
③ 重要な不確実性が認められる旨及びその理由
④ 財務諸表は継続企業を前提として作成されており、当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映していない旨
貸借対照表日後に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が発生した場合であって、当該事象又は状況を解消又は改善するための対応をしてもなお、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められ、翌事業年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼすときは、重要な後発事象として、以下の事項を財務諸表に注記することとされています(監保報74号7)。
① 当該事象又は状況が発生した旨及びその内容
② 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
③ 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる旨及びその理由
有価証券報告書提出企業の場合は、リスク情報の記載として下記が求められています。
①「事業等のリスク」
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況、その他会社の経営に重要な影響を及ぼす事象(重要事象等)が存在する場合にはその旨、その内容
②「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)
「事業等のリスク」において、リスク情報として重要事象等を記載した場合、「当該事象についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」
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