EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(株) 永井 康幸
大手外資系コンサルティングファームを経て、現職。20年にわたり、業界横断的にBPR/SSC、オンサイト・ニアショア・オフショアBPO/ITOを経験。EYにおいては、業界横断的なバックオフィス業務を中心とした業務改革(BPR、SSC/BPO化、RPA導入等)の推進支援に従事。また、近年では、国内企業の海外事業におけるグローバルSSC化支援に従事している。
国内では少子高齢化による労働人口減少に伴う人材不足が顕著となってきており、多くの企業が経理・財務、人事・総務、調達等のバックオフィス業務を中心に、さらなる効率化に取り組んでいます。バックオフィス業務の効率化手法として活用されているシェアード・サービス・センター(SSC)、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)においても、要員の確保へ向けたコストが増加傾向にあり、その解決手段の一つとして、Robotic Process Automation(RPA)の導入が進んできています。本稿では、SSCやBPOとRPA導入の関連性、親和性、および有効活用のポイントについて整理します。
一般的に、SSC/BPO化を検討する際には、業務分析を実施し、業務プロセスを一覧化した上で、その特性からSSC/BPO対象か否かを判断します。その判断は<表1>に示す通り、原則として一定のルールに基づいて実施される執行業務がSSC/BPO対象となります。一方、RPA化に適した業務の特性としては、主に<表2>に示す処理パターンが挙げられます。
RPA化対象処理パターンは、通常、大部分が執行業務であり、SSC/BPO化の対象候補となります。また、SSC/BPO化の対象とならない業務領域にRPA化対象業務は少ないと言えることから、SSC/BPO化の対象となる業務とRPAに適した業務処理は密接に関係があることが分かります。
今後、業務効率化の検討を進めるに当たっては、End to Endで業務の可視化を行い、標準化、デジタル化(インプット、アウトプットの電子化)、RPAの導入、そして、SSC/BPOの活用の検討など、考え得る全ての選択肢を対象に検討することで、効果を最大化する、あるべきオペレーションモデルの構築を早期に実施することが可能となります。
すでに過去に構築した社内SSCが存在する、あるいは外部のBPOベンダーを活用している場合においてRPAの導入検討を行う際には、業務の集約化や標準化が一定程度進んでいると思われることから、その導入可能性について調査、検討、交渉をすることで早期に効果が創出できる可能性が高まります。(<表3>参照)
RPAの活用においては、対象業務の変更、使用するRPAツールのバージョンアップ、さらなる導入検討等により、継続的に導入・管理が可能となるフレキシビリティが必要となります。これまでのSSC/BPOの業務運用管理体制に加え、RPA CoE(Center of Excellence)機能(<図1>参照)も併せて実現することが肝要となります。
効率化手法としてのSSC/BPO導入・拡大とRPA導入は密接に関連しており、最新のテクノロジーの動向を見据えながら、同じタイミングで検討・推進する必要性を説明しました。国内業務に限らず、海外業務において検討をする場合にも有効となります。本稿が皆さまの効率化推進へ向けた共通認識としてお役に立つことができれば幸いです。