業績不振の子会社がある場合には、上場審査上問題となりますか?

Question

業績不振の子会社がある場合には、上場審査上問題となりますか?

Answer

申請会社単独では利益体質となっていても、多額の赤字を抱える子会社を有している場合、上場審査上問題となることがあります。これは、子会社で生じる欠損が拡大すると、申請会社による財政支援の実施や株式の評価損を計上する必要性が生じ、申請会社の株主に不利益をもたらす可能性があるためです。また、連結で見ると他のグループ会社の利益と相殺されることになり、企業価値の低下につながるため、投資家にとってはマイナス要因となります。

そのため、原則として赤字子会社は存在しない状況で上場すべきです。しかし、すべての赤字子会社が問題となるのではなく、将来の黒字化が確実に見込まれる赤字子会社については、通常は上場審査上問題とされません。

ただし、この場合、中期経営計画における事業の成長性や再建計画の合理性・実現可能性等が慎重に審査されることになりますので、これらに関する説明資料を十分に用意する必要があります。

この中期経営計画や再建計画の達成について客観的に説明することが困難又は達成にかなりの時間を要すると考えられる場合には、

  1. 申請会社又は黒字化されているその他の子会社との合併・会社分割・事業譲渡
  2. 当該赤字事業からの撤退、当該赤字子会社の解散・清算、収益改善策の実施等の抜本的な対策により関係会社の整備を実施する必要があります。

特に上場を目指す上では、どの事業を成長事業として位置付けるかを判断し、経営資源を集中的に配分していく必要があるため、早期に関係会社の整備を実施し、経営資源の効率化を図ることが重要です。