EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
上場にあたり内部監査制度の構築が必要になると聞きましたが、その際の留意事項は?
内部監査制度は、経営者の命を受けた担当者が、社内の各種規程や社内ルールに従って業務が遂行されているかを検証し、その改善活動を通して法令の遵守や資産の保全、経営効率を高めることを目的とする制度です。上場会社においては、経営者が株主に対して上述の目的の達成を担保するために、内部監査制度の構築が求められます。そのため、上場審査においては、その整備状況と運用状況が重要な審査項目となります。
内部監査は、内部監査室等の独立した部署で、専属の担当者が実施することが望ましいと考えられますが、小規模な会社などで人員の確保が難しい場合には、他部署と兼務する担当者が実施することも考えられます。ただし、その場合にも監査対象部門や監査対象業務からの独立性は求められることに留意が必要です。また、ある程度会社の業務に精通した人員を担当者として選任することが、有効かつ効率的な監査を実施するためのポイントとなります。いずれにしましても、会社の規模や業務内容によって求められる内部監査機能のレベルが異なるので早めに主幹事証券会社や監査法人に相談すべき事項となります。
内部監査の機能は、上場後においても重要な役割を果たします。上場企業に適用される「財務報告に係る内部統制報告制度」(J-SOX)においては、内部監査の実施とその結果が全社的な内部統制の要素として重要となってきます。
また、販売、購買等の統制活動においても、別の担当者が実施した評価結果を検証する役割を担うことも多いようです。そのため、内部監査の担当者には、内部統制報告制度の理解及び財務報告に関する知識等の能力が求められます。
上場企業においては、内部統制報告制度が導入されて以降、内部監査室や内部監査人に従前の役割よりもより多くの役割が期待されていると考えられます。