EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
公認会計士 増田 規子
2024年1月~3月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値33,288円でスタートし、日米金利差などによる円安基調などの影響を受け上昇を続け2月には1989年末につけた最高値を(38,915円)を34年ぶりに更新しました。3月22日には最高値41,087円を記録し、3月最終日終値は40,369円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、35社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年同期(2023年1月~3月)と比較した場合11社増となっております。市場別に見ると、全体の51.4%にあたる18社が東証グロースに上場し、新興市場合計で全体の94.3%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては、2022年1月から4月3日の実績、東証(プライム、スタンダード、グロース)及び名証ネクストについては4月4日から9月の実績となっています。
(注2)集計期間中に市場区分の変更があったため、市場区分ごとの増減比較は省略しています。
(注3)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注4)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、情報・通信業10社(昨年同期11社)、サービス業9社(昨年同期4社)、となっており、それぞれ新規上場企業全体の28.6%及び25.7%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られます。(表2)。
本社所在地別では、全体の65.7%にあたる23社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です(表3)。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロースに上場した4社、TOKYO PRO Marketに上場した1社でした。またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、初値が公募価格を上回った会社は19社ありました。
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が9社(25.7%)、10億円以上50億円未満の企業が19社(54.3%)であり、全体の8割程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が200億円を超える新規上場企業は、東証グロース1社となっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が18社(51.4%)、50億円以上100億円未満の企業が7社(20.0%)であり、全体の約7割程度を占めています。500億円を超えた企業は3社(8.6%)あり、昨年同期(3社、12.5%)と比較して同数でした(図2)。なお、初値時価総額が最も高かったのは、株式会社トライアルホールディングスの2,633億円でした。グロース市場の平均初値時価総額は279億円と、前年同期の248億円と比較して増加しました。
監査法人別では、EY新日本有限責任監査法人2社(5.7%)、有限責任あずさ監査法人が2社(5.7%)、有限責任監査法人トーマツ1社(2.9%)、となり3法人合計で全体の14%程度で、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえます(表4)。