EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
公認会計士 吉本 麻衣子
2022年1月~12月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値29,301円でスタートし、その後米国株式市場の推移に足並みをそろえる形で徐々に下落を続け3月上旬には一時24,000円台となるものの、その後は25,000円台から28,000円台の間を推移し、12月最終日終値は26,094円となりました。また、4月4日、東京証券取引所ではプライム市場、スタンダード市場、グロース市場、名古屋証券取引所ではプレミア市場、メイン市場、ネクスト市場がそれぞれ始動しました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、112社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年(2021年1月~12月)と比較した場合29社減と大幅に減少しています。市場別に見ると、全体の62.5%にあたる70社がマザーズもしくはグロースに上場し、新興市場合計で全体の85.7%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては、2022年1月から4月3日の実績、東証(プライム、スタンダード、グロース)及び名証(メイン、ネクスト)については4月4日から12月の実績となっています。
(注2)集計期間中に市場区分の変更があったため、市場区分ごとの増減比較は省略しています。
(注3)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注4)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、サービス業36社(前年35社)、情報・通信業37社(前年54社)となっており、それぞれ新規上場企業全体の32.1%及び33.0%を占め、他の業種社数との開きが前年同様に見られます(表2)。
本社所在地別では、全体の69.6%にあたる78社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です(表3)。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はマザーズもしくはグロースに上場した25社(前年23社)、TOKYO PRO Marketに上場した2社(前年1社)あり、またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、初値が公募価格を下回った会社は18社(前年20社)ありました。
直前期の売上高の分布を見ると、100億円以上200億円未満の会社が57社(47%)と全体の半数近くを占めています(図1)。一方で売上高が200億円を超える新規上場企業は、東証1部もしくはプライム2社、東証2部もしくはスタンダード3社、グロース4社の合計10社(16%)と前年(11社)並となっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が40社(36%)、50億円以上100億円未満の企業が33社(29%)であり、全体の3分の2程度を占めています。500億円を超えた企業は4社(3%)あり、前年(12社、9%)と比較して大幅に減少しています(図2)。なお、初値時価総額が最も高かったのは、大栄環境株式会社の1,625億円でした。マザーズ市場とジャスダック市場及びグロース市場の平均初値時価総額は148億円と、前年の213億円と比較して大幅に減少しました。
監査法人別では、EY新日本有限責任監査法人25社(22.3%)、有限責任監査法人トーマツ17社(15.2%)、有限責任あずざ監査法人が8社(7.1%)となり3法人合計で50%に届かない一方で、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえます(表4)。