旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』ー 第82回 「楽しい」が事業を超えて教えてくれた大切なこと

伊藤 瑛加
株式会社Sunshine Delight 代表


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2024年2月10日号に掲載された記事をご紹介します。


私は東京都の農家で生まれ育ち、活発で楽しんで挑戦することが好きな性格です。子どもの頃から、母親の農業者としての作業を見るなかで、生活がもたらすシミやしわの影響から紫外線への興味を抱きました。高校時代、選択授業で「ビジネスモデルで課題を解決できる」と知り、JAアクセラレータープログラムで唯一の特別賞を受賞。これが私が起業に踏み出すきっかけとなりました。

私の事業はWHOの見解に基づき、主に保育施設に向けて、大容量日焼け止めと紫外線対策教育を導入する「子どもからの日焼け止め習慣化」事業です。紫外線量が年々増加するなかで、子どもたちに楽しく日焼け止めを塗る習慣を身につけさせることで、将来につながるお肌の健康を保つサポートしています。大手化粧品会社との協業、経済産業省×JETRO主催の「次世代イノベータープログラム」の採択などを通して、着実な成果を上げています。

高校3年生で起業し、大学では法律やCSRについて学びを深めつつ、事業ではクラウドファンディング151%達成や実際に保育に入って「子どもの健康への理解」を進めました。大学4年生になり、5期目を迎えるなかで卒業を控えています。事業に情熱を注ぎながらも、卒業後の進路には迷いがありました。新卒でなくなることで生まれる不安や、周りと合わせて安心したい選択肢に揺れ動く気持ちがあったからです。しかし、結果的には事業を拡大し、子どもたちの健康を支えるために奮闘しています。

この選択ができたのは、起業を通じて「人生の選択は1つに絞る必要はない」という考え方を実践している多くの社会人たちと出会えたお陰です。国家資格を持ちながら社会課題に取り組む人々や、退職して大学で講師を務める先生など、多くの社会人の皆さまに励まされました。

対話を通じて気づいたことは、年齢や業界を問わず、挑戦の積み重ねが大切であること。

挑戦を積み重ねていく過程で、人的ネットワークの構築すること、葛藤や緊張を自分自身が受け入れて規律すること、「やってみる」の世界を深掘りしていくことが原動力になり、さらなる成長につながるのだと感じることができました。言うは易し行うは難しです。けれども、先人の背中から、外部評価と自己評価への厳しさとやりがいが表裏一体であるからこそ、大きな成果を生み出せるのだと感じています。

今後、生成AIによる職業の代替が進むなかで、技術を用いて問題解決する人と享受する人の生活水準の格差も顕著になると思います。国内の水準を維持して、成長につなげるためにも、幼少期から学齢児童の集団生活を通じて、挑戦の積み重ねや学び続ける習慣を育むことが重要です。

私は、学校教育や起業で感じることができた、「自分の力を信じて進める」ことの重要性とともに子どもたちにこれらを伝えて環境を整えていきたいと思います。そのためにも、まずは日焼け止めを通して、子どもたちが「楽しく、自分で」お肌を守れる環境を整備します!



美宝 れいこ

伊藤 瑛加(いとう・えいか) 
株式会社Sunshine Delight 代表

略歴

中央大学法学部4年生。高校3年時「太陽の下で安心して暮らせる環境をつくる」ことを理念とする株式会社Sunshine Delightを設立。保育施設に向けた日焼け止め×紫外線対策教育(ダンス・絵本等)を展開し、子どもからの紫外線対策訴求活動を並行する。中央大学2020年度新入生代表。経済産業省×JETRO次世代イノベータープログラム8期生。大企業や自治体と連携して事業を推進。テレビ東京『TOKYO STARTUP DEGAWA』他メディア出演多数し、学校での起業講演も行う。


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