EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
澤田 真弓
メディフォン株式会社 代表取締役
Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2023年4月10日号に掲載された記事をご紹介します。
「女性に下駄を履かせます。」全方位で積極的にDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン=多様性、公平性、包括性)を推進している世界を代表するメーカーが、女性幹部育成に特に力を入れられていると知り、先日取締役にお会いした際に「男性社員から不公平だと不満は出ていませんか?」と質問しました。「不満の声を聞くこともあります。そのような時は、女性に下駄を履かせます、と説明しています。」と回答をいただきました。これまで男性に対してもポテンシャルの高い人材には下駄を履かせ、幹部育成をしてきた。それと同じことであると。そのフェアで明快な回答に、目から鱗が落ちるようでした。
当社の社員は6~7割が女性、1割程度は外国人(ベトナム、インドネシア、中国など様々)と、多様な社会のための医療インフラ構築を目指し、多様性あるカルチャーを育むことのできる体制になってきました。多様な組織を目指す過程で問題に直面することもありますが、一つ一つみんなで地道に向き合っています。結果的に、多様なバックグラウンドや働き方の方が増えるほど、オフィスや働き方も多様になり、個人が働きやすい環境作りが実現できているように思います。
ジェンダ―の課題解決にはこれまで実に多くの方々が力を尽くし、剥奪された権利や尊厳を勝ち取ってきた歴史があり、これらの諸先輩方の血のにじむ努力を経て、自分自身は今仕事人生を全うするという選択ができていると考えています。戦後1946年、婦人参政権が認められ、同年に交付された日本国憲法中の参政権の規定において性別による差別禁止が規定、1965年に母子保健法が成立、1986年に男女雇用機会均等法が施行。その歴史は実はまだ浅いものです。私たち社会の現在地はまだ道半ばであり、解決のために自分も最大限尽くしたいと考えてきました。
大学時代のゼミで社会学ジェンダー論を専攻していた私は、ジェンダ―における課題解決には社会を形づくっている制度・文化・慣習まで含む全てにおいて、社会全体で「脱構築」し続けることであると学びました。私個人としては人生を通じて向き合っているこの課題に、経営を通じ、チャレンジし続ける所存です。社会は一気には変わりません。より多くの人たちが、継続的に自分を変え、社会を変えていくことができるよう、貢献していきたいです。
澤田 真弓(さわだ・まゆみ)
メディフォン株式会社 代表取締役
略歴
2005年東京外国語大学 外国語学部欧米第一課程英語専攻卒。北京大学漢語進修プログラム修了後、2008年インペリアルカレッジロンドン大学院にて経営学修士号取得。帰国後、グーグル株式会社を経て、メディフォンを創業。医療現場に向けた遠隔医療通訳サービスを構築し、全国の医療機関や自治体等に提供。2021年より多言語クラウド健康管理システムを開発・提供開始し、企業の予防医療現場への支援にも着手。