旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第64回 未来の自分のキャリア形成のために

田中 明子
ウエルキー株式会社 代表取締役


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2022年8月10日特大号に掲載された記事をご紹介します。



私は男女雇用機会均等法の施行翌年に就職し、自分なりに努力をすれば男性と大きな待遇差を感じることなく仕事ができ、恵まれた社会人生活を送ってきました。

育児休業を取得して、2人の息子を0歳から保育園に預けて復職し、外で働く時間があったからこそ子供と過ごせる時間を大切にできて、息子たちとは成人になった今でも良好な関係を築けています。

ただ、こうした恵まれた環境は私一人の力で決して手に入れられた訳ではなく、多くの方の協力があってこそ得られたものです。

出張も多く両親には本当に助けられましたし、子供の急な発熱では同僚のサポートを受け、仕事も任せて頂けたからこそ、キャリアを諦めずに働き続けられたと本当に感謝しています。

新部署立ち上げ、ISO17025の取得、品質保証体制の構築など、社内で前例のないことを一からできることがとても楽しく、苦労はありましたが、やりがいや達成感がありました。

しかし、これも一人では到底なし得なかったことで、たくさんの同僚や上司部下に助けられてできたことであり、チームワークの大切さを痛感しています。

こうした経験から、仕事をセーブせざるを得ない女性、それをサポートする女性にできるだけモチベーションを高く持って働いてもらえるよう苦心してきました。

私が伝えてきたことが3つあります。

① 育児休業や育児時間の取得で多少なりとも周りの負担は増えますが、逆の立場になることもあり得るのだから、周りは受け入れてサポートすることで、今後の自分の居場所作りにつなげること。

② 女性はさまざまな理由で一旦キャリアを諦めざるを得ない場合があるため、その後に好条件でキャリアを継続できるよう、未来の自分のために知識や技術を積極的に身に着けること。

③ 負担が重いと感じたら無理をせず、気付いてもらおうとするのではなく伝えること。
 

そうすると限られた時間の中で、質の高い仕事ができる女性がどんどん増えました。

また、私がプレ更年期や更年期症状を抱える世代に向けて、ヘルスリテラシー向上のために情報を提供し、管理栄養士が寄り添い食事をメインに生活習慣を改善してもらう事業を立ち上げたのは、自身が体調不良を抱え、原因が分からないままドクターショッピングを繰り返し、昇進を辞退した経験があるからです。

更年期症状には個人差はありますが、40代以降の4割に症状があり、誰にも相談できないままパフォーマンスの半減や昇進辞退も半数に上り、退職者も6人に1人と、せっかく築いてきたキャリアを諦める方が非常に多い現状を変えることができたら、女性はもっと活躍できると考えサービスを提供しています。

皆さんもお互い様の気持ちがチームを助け、自身の成長や自信になること、早期の生活改善がウェルビーイング実現につながることを心の片隅に置いて頂けると嬉しく思います。

私も沢山の方から頂戴した恩を、次の世代に恩送りできるよう働く女性をサポートしていきたいと考えています。



田中明子

田中明子(たなか・あきこ)
ウエルキー株式会社 代表取締役

略歴
1987年大阪府立大学工学部卒業後、横河電機株式会社で2004年まで分析機器のアプリケーション開発に従事。現株式会社ファルコバイオシステムズに転職後、学術企画部の立ち上げ、品質保証責任者として医薬品試験の品質保証体制の構築、ISO17025試験所認定を国内初項目で取得後、マネジメントや部署の統廃合に携わる。健康サポートで社会貢献できればと2021年にウエルキー株式会社を設立。



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