決算日の異なる新規設立子会社の連結方法

Question 

×1年11月1日付で子会社(当社持分100%)の新規設立を行う予定であり、当該子会社は12月決算です。当社は3月決算であり、連結決算日との差異が3カ月を超えないため、当該子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行います。 この場合に、連結財務諸表に関する会計基準(以下、連結会計基準という。)(注5)により、支配獲得日が決算日以外の日であるため、9月30日または12月31日を支配獲得日とみなして第3四半期及び年度の連結を行うことができますか。

Answer 

子会社の支配を獲得した場合、原則として支配獲得日の資産及び負債を時価評価し、投資と資本を相殺します(連結会計基準第20項)。ただし、支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合には、当該日の前後いずれかの決算日に支配獲得が行われたものとみなして処理することができるとされています(連結会計基準(注5))。

このみなし取得日の規定は、期中における子会社に対する支配獲得が、株式の譲受等により行われた場合を対象にしていると考えられ、子会社の新規設立の場合には該当しないと考えます。よって、みなし取得日を使用する対象にはならず、子会社設立時の貸借対照表から連結を行うと考えられます。

また、子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月を超えない場合には、連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について必要な整理を行うことを前提として、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができるとされています(連結会計基準(注4))。以上のことから、本件においては、第3四半期の連結決算においては、子会社設立時の貸借対照表のみ連結を行い、年度の連結決算においては12月末の当該子会社の決算情報を取り込むことができると考えられます。

数値例による解説

資料

第3四半期(×1年12月31日)の連結精算表(連結貸借対照表のみ)

親会社

子会社

合算

相殺消去

連結財務諸表

資産

25,000,000

1,000,000

26,000,000

子会社株式

1,000,000

0

1,000,000

(1,000,000)

0

26,000,000

1,000,000

27,000,000

(1,000,000)

26,000,000

親会社

子会社

合算

相殺消去

連結財務諸表

資産

(13,000,000)

(13,000,000)

(13,000,000)

子会社株式

(5,000,000)

(1,000,000)

(6,000,000)

1,000,000

(5,000,000)

利益剰余金

(8,000,000)

(8,000,000)

(8,000,000)

(26,000,000)

(1,000,000)

(27,000,000)

1,000,000

(26,000,000)

子会社設立時の貸借対照表を合算し、投資と資本の相殺消去を行う。

連結決算日(×2年3月31日)の連結精算表(連結貸借対照表のみ)

親会社

子会社

合算

相殺消去

連結財務諸表

資産

28,000,000

1,030,000

29,030,000

29,030,000

子会社株式

1,000,000

0

1,000,000

(1,000,000)

0

29,000,000

1,030,000

30,030,000

(1,000,000)

29,030,000

親会社

子会社

合算

相殺消去

連結財務諸表

資産

(13,540,000)

(13,540,000)

(13,000,000)

子会社株式

(5,000,000)

(1,000,000)

(6,000,000)

1,000,000

(5,000,000)

利益剰余金

(10,460,000)

(10,490,000)

(10,490,000)

(29,000,000)

(1,030,000)

(30,030,000)

1,000,000

(29,030,000)

子会社の決算(×1年12月31日)の貸借対照表を合算し、投資と資本の相殺消去を行う。



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