連結財務諸表と個別財務諸表の関係

Question 

連結財務諸表を作成する会社においては、連結財務諸表だけでなく、個別財務諸表についても注記の検討が必要でしょうか。また、連結子会社の個別財務諸表についてはどのように考えればよいでしょうか。

Answer 

会計基準において「連結財務諸表において賃貸等不動産の時価等の開示を行っている場合には、個別財務諸表での開示を要しない」とされていますが、財務諸表等規則においては、「財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、(個別財務諸表上)記載することを要しない」とされています。したがって、連結財務諸表作成会社の個別財務諸表では、重要性の判断を行うことなく、賃貸等不動産の時価等の開示を省略できると考えられます。これは、連結財務諸表において賃貸等不動産の注記を行った場合のみならず、総額の重要性がなく、連結上注記を省略した場合であっても同様です。

ただし、これは同一会社における連結・個別上の取扱いを定めたものであるため、子会社の個別財務諸表においては、その重要性の判断は別途行われるべきと考えられます。
例えば子会社の個別財務諸表においては、総額の重要性がなく、賃貸等不動産の注記が不要であったとしても、親会社の連結財務諸表上、総額の重要性がある場合には、当該子会社の保有する賃貸等不動産も連結財務諸表に含まれることから、原則として注記対象となります。また、逆に親会社の連結財務諸表上、総額の重要性がなく注記が不要であったとしても、子会社の個別財務諸表においては、総額の重要性があり、賃貸等不動産の注記が必要なケースもあり得ます。

なお、財務諸表等規則と同様、会社計算規則においても、「連結注記表を作成する株式会社は、個別注記表における賃貸等不動産に関する注記を要しない」と規定されており、会社法の計算書類においても同様の判断をすることとなります。


根拠条文

      • 「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」 第3項
      • 財務諸表等規則第8条の30第2項
      • 会社計算規則第110条第2項

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