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会計情報トピックス 村田貴広
企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成29年1月12日に「企業会計基準等に関する適用後レビューの計画策定についての意見の募集」(以下「本意見募集文書」という。)を公表しています。
本意見募集文書では、より幅広い市場関係者から適用後レビューの目的に関連する懸念点の有無を把握するための5つの質問項目について意見を募集しています。
なお、本意見募集文書に対しては、平成29年3月13日(月)までがコメント募集期間とされています。
ASBJが開発する会計基準のデュー・プロセスは、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)の理事会が定める「企業会計基準及び修正国際基準の開発に係る適正手続に関する規則」(以下「適正手続規則」という。)に規定されており、適正手続規則においては、日本基準の開発に当たって実施すべきデュー・プロセスの1つとして、適用後レビューに関する規定が設けられています。当該規定では、ASBJが重要と認められる新規の企業会計基準等の開発及び既存の企業会計基準等の改正を行ったときは、適用後レビューを実施しなければならないとされています。
適用後レビューの目的は、一般に次の事項を把握することにあると考えられます。
適用後レビューの計画の策定のために、ASBJが公表した企業会計基準等のうち、上記の適用後レビューの目的を踏まえ、いずれの企業会計基準等を適用後レビューの対象として選定するかについて検討が行われ、また、市場関係者に対して意見聴取(以下「アウトリーチ」という。)が行われました。当該アウトリーチでは、適用後レビューを実施することがデュー・プロセスの上で重要であることは理解されたと同時に、特定の企業会計基準等に関して適用後レビューを実施すべきとの意見は聞かれなかったとされています。一方、予備的な調査という位置付けで、市場関係者の意見を幅広く収集することは有用であるとの意見も聞かれたとされています。
現在ASBJ及びFASFでは、主にFASF内に設置されている基準諮問会議による新規テーマの選定及び定期的なアウトリーチにより、定期的に市場関係者から意見を聴取しており、前述の適用後レビューの目的に関連する懸念点を、一定程度把握できる体制が整っているものと考えられます。このような状況から、ASBJは、現時点では、適用後レビューを行う個別の企業会計基準等を選定していません。ただし、基準諮問会議及び定期的なアウトリーチの参加者は、比較的限定されていることから、より幅広い市場関係者から適用後レビューの目的に関連する懸念点の有無を把握することが有用であると考えられることを踏まえ、今般、本意見募集文書が公表されることになりました。今後は、本意見募集文書に寄せられる意見を踏まえ、ASBJにて適用後レビューの計画(対象とする企業会計基準等、実施方法、実施スケジュール等)が策定される予定です。
質問事項は以下のとおりです。
【質問1】 回答者の属性(財務諸表利用者、財務諸表作成者、監査人、学識経験者、その他)
【質問2】 企業会計基準等が、公表時に想定していた有用な情報を提供しているか
【質問3】 企業会計基準等の適用に当たり、ガイダンスの不足等により解釈上の問題が生じていないか
【質問4】 企業会計基準等の適用に当たって、予想外のコストが生じていないか
【質問5】 その他
本意見募集文書により、意見を幅広く把握するに当たって、企業会計基準等の内容等をより理解することができるよう、参考資料に、これまでにASBJが公表した企業会計基準等の概要が記載されています。具体的には、これまでにASBJが公表した企業会計基準等のうち、全ての企業会計基準及び主な企業会計基準適用指針を対象に、次の事項が参考資料に記載されています。
なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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