EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
会計監理レポート
平成21年3月27日に法務省令第七号が公布され、会社計算規則が改正されました。以下に改正内容の概要を記載します。
改正案公表時に同時に公表された「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案の概要」では、企業結合会計基準等における持分プーリング法の廃止等の国際的な会計基準とのコンバージェンスに対応するために所要の改正を行うとともに、関連規定の合理化およびこれに伴う形式的整備に係る改正であり、コンバージェンスに対応する部分を除き、のれん、株式等に係る特別勘定および株主資本等の計算に関する規律の実質は、現行の会社計算規則と異なるものではないが、改正案では規定の合理化の観点から会計上当然に定まるものであるのれんおよび特別勘定の額ならびに組織再編等によって変動する株主資本等の総額に関する部分につき、基本的な事項のみを規定することとするものであると述べられています。
改正案公表時に同時に公表された「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案の概要」では、募集株式の発行および新株予約権の行使に伴う資本金等増加限度額ならびに設立時の株主資本等の計算に係る規定について、その実質には変更はないものの、金銭を出資する場合と金銭以外の財産を出資する場合とに区分すること等により規定の構造を明確化するとともに、規定の合理化を行うものであると述べられています。
平成20年6月6日、同年8月7日および同年12月12日にそれぞれ公布された内閣府令(平成20年内閣府令第36号、同第50号および同第80号)等による財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則等(以下、財務諸表規則等)の改正に対応するため、会社計算規則の関連規定を整備する改正です(改正後会社計算規則第75条、第77条、第93条、第98条、第102条、第109条、第110条、第111条等)。
改正前会社計算規則第107条の規定が改正後第75条に移設され、同条第2項第一号ヌ、第二号トで、資産除去債務に関する規定が新設されました。
改正後第77条で、「たな卸資産及び工事損失引当金の表示」に関する規定が新設されました。
改正後第93条第1項第三号で、少数株主損益調整前当期純利益の表示に関する規定が新設されました。
改正前会社計算規則第48条第1項第一号の準備金のかっこ書き(「資本準備金に限る」との規定)および第二号の剰余金のかっこ書き(「その他資本剰余金に限る」との規定)が改正後第25条で削除されました。
本改正省令は平成21年4月1日から施行されます(附則第1条)。
資産除去債務および少数株主損益調整前当期純利益の表示(附則第8条第1項)
この省令による改正後の会社計算規則(以下、新会社計算規則)第2条第3項第五十六号(資産除去債務)、第75条第2項第一号ヌ(流動負債に表示される資産除去債務)および同項第二号ト(固定負債に表示される資産除去債務)ならびに第93条第1項第三号(少数株主損益調整前当期純利益の表示)の規定は、平成22年4月1日前に開始する事業年度に係る計算関係書類については、適用しないとされています。ただし、同日前に開始する事業年度に係る計算関係書類のうち、施行日以後に作成されるものについては、これらのすべての規定により作成することができるとされています。
また、「これらのすべての規定」とは、資産除去債務であれば、これに関するすべての規定との意味であり、資産除去債務と少数株主損益調整前当期純利益の表示とを同時に適用することを求めている意味ではないと解されています。
なお、「資産除去債務に関する会計基準」は平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用され、平成22年3月31日以前に開始する事業年度から適用することもでき、上記の経過措置の規定は同会計基準の適用時期と実質的に整合しています。
「連結財務諸表に関する会計基準」の「少数株主損益調整前当期純利益」の表示に関する定めは、平成22年4月1日以後開始する連結会計年度から適用され、平成21年4月1日以後に開始する連結会計年度から適用することもできると定められています。
工事契約およびたな卸資産および工事損失引当金の表示(附則第8条第2項)
新会社計算規則第2条第3項第五十七号(工事契約)および第77条(たな卸資産および工事損失引当金の表示)の規定は、施行日前に開始する事業年度に係る計算関係書類については、適用しないとされています。ただし、施行日前に開始する事業年度に係る計算関係書類のうち、施行日以後に作成されるものについては、これらのすべての規定により作成することができるとされています。
なお、「工事契約に関する会計基準」は、同会計基準公表日(平成19年12月27日)後、平成21年3月31日以前に開始する事業年度から適用され、上記の経過措置の規定は同会計基準の適用時期と実質的に整合しています。
金融商品および賃貸等不動産(附則第8条第3項)
新会社計算規則第2条第3項第五十八号(金融商品)および第五十九号(賃貸等不動産)、第98条第1項第八号(金融商品に関する注記)および第九号(賃貸等不動産に関する注記)、第109条(金融商品に関する注記)ならびに第110条(賃貸等不動産に関する注記)の規定は、平成22年3月31日前に終了する事業年度に係る計算関係書類については、適用しないとされています。ただし、同日前に終了する事業年度に係る計算関係書類のうち、施行日以後に作成されるものについては、これらのすべての規定により作成することができるとされています。
また、「これらのすべての規定」とは、金融商品であれば、これに関するすべての規定との意味であり、金融商品の開示に関する改正と賃貸等不動産の開示に関する改正とを同時に適用することを求めている意味ではないと解されています。
なお、「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」は、平成22年3月31日以後に終了する事業年度末に係る財務諸表から適用され、当該事業年度以前の事業年度の期首から適用することもでき、上記の経過措置の規定は同会計基準の適用時期と実質的に整合しています。
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」は平成22年3月31日以後に終了する事業年度末に係る財務諸表から適用され、当該事業年度以前の事業年度の期首から適用することもでき、上記の経過措置の規定は同会計基準の適用時期と実質的に整合しています。
持分法損益等に関する注記(附則第8条第4項)
新会社計算規則第98条第1項第十号(持分法損益等に関する注記)、第102条第一号ホ(開示対象特別目的会社に関する注記)および第111条(持分法損益等に関する注記)の規定は、平成20年4月1日前に開始する事業年度に係る計算関係書類については、適用しないとされています。
従って、平成21年3月末決算について、適用されます。
部分時価評価法廃止関係(附則第8条第5項)
平成22年4月1日前に開始する事業年度に係る連結計算書類のうち、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項に関する注記については、連結子会社の資産および負債の評価に関する事項を含むものとするとされています。
「連結財務諸表に関する会計基準」の「部分時価評価法」廃止に関する定めは、平成22年4月1日以後開始する連結会計年度から適用され、平成21年4月1日以後に開始する連結会計年度から適用することもできます。
「連結財務諸表に関する会計基準」を早期適用する場合であっても、上記の会社計算規則の経過措置の規定によれば、「連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項」に、変更後の「連結子会社の資産及び負債の評価に関する事項」(全面時価評価法を採用している旨)を記載することとなります。
施行日前に会社法第199条第2項に規定する募集事項の決定があった場合における株式の発行または自己株式の処分に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第9条第1項)。
また、施行日前に新株予約権の行使があった場合における株式の発行または自己株式の処分に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第9条第2項)。
施行日前に吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約または株式交換契約が締結された吸収合併、新設合併、吸収分割または株式交換に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第10条第1項)。
また、施行日前に新設分割計画または株式移転計画が作成された場合における新設分割または株式移転に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第10条第2項)。
施行日前に定款の認証を受けた定款に係る株式会社の設立に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第11条第1項)。
また、施行日前に作成された定款に係る持分会社の設立に際しての計算については、なお従前の例によるとされています(附則第11条第2項)