1. 賃上げに係る税制措置の強化
企業の賃上げを促し、多様なステークホルダーへの還元を後押しする措置が強化されます。継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%を税額控除する制度が設けられます。税額控除は、当期の法人税額の20%を上限とします。2年間の時限措置です。中小企業については、賃上げを高い水準で行うとともに、教育訓練費を増加させた場合に、給与支給額の増加額の最大40%を税額控除する制度が設けられます。大企業については、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も特に消極的な企業について、租税特別措置(研究開発税制など)の適用を停止する措置が強化されます。
2. オープンイノベーション促進税制の延長・拡充
スタートアップ企業への出資額の25%を課税所得から控除するオープンイノベーション促進税制について、設立15年未満(現行:10年未満)の企業の対象への追加、保有見込期間の短縮(5年→3年)などの見直しを行った上で、2年間延長されます。
3. グループ通算制度の見直し
投資簿価修正制度について、通算子法人の離脱時にその通算子法人の株式を有する各通算法人が、離脱時の子法人株式の帳簿価額とされる通算子法人の簿価純資産価額に「資産調整勘定等対応金額(非適格合併における資産調整勘定に類似するもの)」を加算することができる措置が講じられます。通算子法人の離脱時にいわゆる「買収プレミアム」が株式譲渡原価に算入できない問題に対処するものです。連結納税制度からグループ通算制度に移行したグループの連結開始・加入子法人についても対象となります。
4. その他
- 資本の払戻しに係るみなし配当の計算について、最高裁判決を踏まえた見直しがなされます。
- 5G導入促進税制について、税額控除率を段階的に減らしていく見直しを行った上で、3年間延長されます。
- 地方拠点強化税制について、地方に移転する企業の実態を踏まえた見直しを行った上で、2年間延長されます。
- 交際費等の損金不算入制度について、その適用期限が2年延長されます。
- 少額減価償却資産・一括償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものが除外されます。