EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
EYのマネージドサービスは、本社機能の中でも中核とされてきた財務、税務、リスク管理、法務といった分野の業務を、企業に代わってEYが提供するものです。従来日本企業は、一般的にこれらの業務を自社または自社グループのリソースで対応してきました。しかしながら、昨今の労働力人口の減少、各国法制度の複雑化、テクノロジーの進化といった環境変化によって、企業が全ての業務を自社のリソースで対応し続けることには限界が見えてきており、EYにおいてもマネージドサービスを提供する事例が増えています。
マネージドサービスの利用にあたっては、業務の棚卸しや組織の役割の見直し、従業員の再教育や配置転換といった企業内部の変革が求められます。当然のことながら、こうした変革の実行は容易なものではありません。それでも、特にグローバルで事業を展開する企業や、M&Aの実行によって成長を志向する企業は、自社の戦略や将来のリソースのための計画を見据えて、適切にマネージドサービスを活用することが必須になるでしょう。
従来のビジネスモデルへのプレッシャーが⼀層強まる中、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界中の企業に⼤きな混乱をもたらしています。広範囲にわたってサプライチェーンが崩壊し、政府による休業命令が出され、消費者の⾏動も変容しました。しかし、従来のビジネスモデルの多くは、パンデミック以前から変わりつつある社会のプレッシャーを受けていたことも事実です。
効果的に考え直すために、まず企業は新型コロナウイルス感染症の拡⼤による損害を単なる数字の確認に終わらせずに評価しなければなりません。
⾔うまでもなく、どの企業においても即時かつ継続的に取り組まねばならなかったのは、社員の健康と安全の確保でした。しかし、多くの企業にとって真の損失は、チャンスを失ってしまったことでしょう。危機の真っただ中、社内で重要な役割を担う⼈材は、企業の基本機能を動かし続け、重要部⾨の業務が滞らないよう、また情報の有効性や信頼性やタイミングが保たれるよう、ほとんどの時間をそのための作業に費やさねばなりませんでした。そのため、そうした人材は重要な戦略的判断に注⼒する時間を失うことになりました。本来であれば、柔軟な業務体制の整備や、より重要な商品やサービスへの⽅向転換、運転資本の再検討など、今回のパンデミックによる事業や局面への影響を回復に向けてもっとうまく乗り切る戦略的判断ができたかもしれないのです。
また新型コロナウイルス感染症の拡⼤によって、テクノロジーソリューションの不備が露呈したという企業もあります。こうした不備は、長年にわたる投資の先送りと⼈⼿を使ったその場しのぎの対応策の結果です。旧来のシステムでは、社員のリモートワークに対応できず、オンライン取引を求める顧客ニーズを満たせず、また透明性とデジタル報告を求める規制当局からの要求にも応えることができない、といったことが多々ありました。
企業が将来に⽬を向ける時にこれらの教訓からはっきり分かるのは、「ノーマル」に戻るという選択肢はないということです。ボラティリティに対応しパンデミック後の世界で成功を収めるには、全社的なビジネストランスフォーメーションが必要です。弱点をカバーするか、新しい機会を切り開くか、あるいはその両⽅かもしれません。
「トランスフォーメーション(変革)」は今やビジネスではよく使われる言葉ですが、その真意は見落とされがちです。テクノロジーを取り入れたり社内機能を改善したりすることだけが注目されますが、変革とはレジリエンスとアジリティの向上を目指してビジネスモデル全体を見直すことなのです。
多くの企業にとって、改⾰への道はマネージドサービスを経由していきます。今回のパンデミック以前も、マネージドサービス導⼊を検討する企業は増えていました。今では、マネージドサービス導入は取締役会が検討すべきアジェンダの中⼼となっています。マネージドサービスでは次のことが可能になり得るからです。
マネージドサービスによって、⻑く不安定な回復までの道のりを乗り切るツール、今後⽣じる経済的課題に⾃信を持って⽴ち向かうレジリエンス、そして未来のチャンスを最⼤限に活⽤できるアジリティを⼿に⼊れることができるでしょう。
今回のパンデミックは世界を⼀変させました。おそらく元には戻ることはないでしょう。こうした変化のマイナス⾯を軽減し、変⾰のチャンスというプラス⾯を捉えられる企業は、以前よりも強くなって復活し、より良い体制を構築し、経営陣は今後の事業の推進に集中することができます。マネージドサービスを採⽤することは、変⾰に向けた迅速かつ効率的なルートです。ツール、⼈材、知⾒を⼿に⼊れることによって、⼤胆に動くことができるようになります。そうした⾏動はやがて、今とは全く異なるビジネス環境での成功の輪郭をはっきりと描くことにつながるでしょう。
EYの関連サービス
従来のビジネスモデルは以前からすでにプレッシャーにさらされていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって変⾰の緊急性が増しました。マネージドサービスは変⾰への近道であり、プロバイダーが持つコア領域における専⾨性とテクノロジーへの投資を活⽤することにより、中核機能の効率や効果を⼀層⾼めることができます。