EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
CGM機器はペイシェントエクスペリエンスと生活の質を向上しましたが、このテクノロジーはまだ発展途上にあり、技術面と市場において、両方の課題に直面しています。中でも、CGM機器市場への影響が不明なことから、最近の糖尿病治療におけるグルカゴン様ペプチド1(Glucagon-like peptide 1、以下GLP-1)の成功は、重要な課題となっています。
CGM機器メーカーは、GLP-1受容体作動薬を服用している患者において、血糖モニターの利用が増加したと主張していますが12, 13、2023年10月の報道によると、新薬に対する消費者の不安感から、医療機器関連の株価指数は3カ月間で20%下落しました14。一方、アナリストの予想は、医療機器メーカーと一致しており、2型糖尿病患者へのGLP-1受容体作動薬の投与開始後に、CGMの導入が加速し、アウトカムが向上すると予想しています。ただし、GLP-1の影響により、インスリンを使⽤する患者の割合が今後5年間で、20%〜25%減る可能性もあります1。医療機器メーカーは、GLP-1が患者の属性、治療パラダイム、臨床医とのコミュニケーションに及ぼす影響についての理解を⼗分に深めることにより、将来的に適切な戦略上の意思決定を下すことができます。
CGM機器メーカーのもう1つの課題は、機器の流通チャネルにあります。従来米国では、CGM機器はメーカーまたはサードパーティーベンダーからしか購入することができませんでした。2010年代半ばになると、CGM機器メーカーは保険会社と連携し、薬局の処方箋を通じて患者に直接CGM機器を提供するようになりました。これは企業に大きな利益をもたらし、ここ数年の売り上げ増加に大きく貢献しています。患者へのアウトリーチをさらに強化するために、CGM機器メーカーは、eコマース機能に投資し、消耗品と病気の管理をサポートするアプリに加え、健康管理に関するアドバイスをオンラインで提供すべきです。そのためには、医療従事者、保険者、糖尿病ケアで使用する他の機器のメーカー(インスリンポンプ、インスリンペン、医療用ソフトウェアの開発企業)との関係を育み、強化しなければなりません。
最後に、病気の種類、人口統計(年齢、性別、医療費)、確立されたチャネル(医療従事者、薬局、地域医療)による、それぞれの患者グループのニーズを深く理解し、より的確に活用するために、重要なデータと分析機能に投資し、開発することが必要です。テクノロジー企業と連携することで、各患者グループに対するインサイトを獲得し、より多くの情報を基に、市場と治療に関する意思決定を行うことができます。