住民参画モデルの新しい形:精華町が実現する共創のまちづくり

住民参画モデルの新しい形:精華町が実現する共創のまちづくり


「新たな住民参画モデル(共助モデル)」の注目すべき事例として、精華町の「せいかまちづくりフォーラム2024」を紹介します。


要点

  • EY新日本有限責任監査法人は、精華町が開催した「せいかまちづくりフォーラム2024」の企画・立案・運営を支援した。
  • 精華町では、総合計画の進捗管理において広く住民参画を得るために「せいかまちづくりフォーラム」を開催している。
  • 精華町役場の39歳以下の中堅・若手職員が「健康」「中学校給食」「地域防災」「歴史・文化」「ふるさと納税」をテーマに、行政のまちづくりの成果を発表した。

EY新日本有限責任監査法人は、精華町が開催した「せいかまちづくりフォーラム2024」の企画・立案・運営を支援しました。


せいかまちづくりフォーラム2024 概要

日時:2024年9月28日(土)13:30~16:00

場所:けいはんなプラザ・交流棟3階

プログラム:
・フォーラムの趣旨・概要の説明
・各グループの発表および住民コメンテーターによるコメント
・全体のまとめ


精華町では、「自治会を中心とした地域コミュニティ」や「目的別組織である公共的活動団体」と行政との連携・協力を基本とした住民主体のまちづくりを進めています。精華町は、2023年に第6次総合計画を策定していますが、住民ワークショップ「せいかカフェ・ラボ」や住民アンケートを実施し、計画策定に当たって重要なステークホルダーである住民を巻き込み、展開しました。このような流れを受け、総合計画が計画通りに進められているかをチェックする「進捗管理」のプロセスにおいても、広く住民参画を得ることを目指し、「せいかまちづくりフォーラム」を開催しています。

本フォーラムは精華町役場の39歳以下の中堅・若手職員が第6次総合計画に掲げられた取り組みの進捗状況を住民に直接語りかけ、住民からその場でフィードバックを得るというイベントで、2023年9月16日に初めて開催されました。

2024年9月28日に開催された今回の第2回フォーラムでは、「健康」「中学校給食」「地域防災」「歴史・文化」「ふるさと納税」をテーマに、行政のまちづくりの成果が各種活動団体の活動成果も交えながら発表されました。

グループ/テーマ

発表テーマ

発表で提起された課題

改善策(※)

1/健康

  • 健康活動における人とのつながりの大切さ
  • 人とのつながりの有無による健康活動への影響の検証
  • 町民の健康増進を図るための施策である「せいか365活動」の課題(医療費・介護給付費の伸びの抑制につながっていない)
  • せいか365健康ポイント事業を活用した複数人で参加する健康事業
  • せいか365プロジェクト新団体の育成
  • 新たな地区での居場所づくりなど集団で行う事業

2/中学校給食

  • 中学校給食の関係者の思い(防災食育センター調理員、栄養士、中学生、地域の農家等)
  • 給食費無償化の経緯と取り組み
  • 米に比べると野菜の地産地消が不十分
  • 食べ残しの存在
  • 食材を提供してくれる農家の育成や、農家の負担となっている配送の人材確保
  • 堆肥化、食べ残しを減らす啓発活動、味付けの工夫

3/地域防災

  • 自主防災組織や消防団の概要と課題
  • 自主防災組織や消防団の人材不足
  • あいさつ運動を精華町にいるすべての人に拡大(地域のつながりを強化し、その結果として、各団体の参加の促進につなげていく)

4/歴史・文化

  • 精華町の歴史や文化財
  • 精華町における文化財の保存活用の現状と今後
  • 文化財の活用が不十分(文化財保存活用地域計画は策定中)
  • 歴史文化財資料館の建設
  • 町民自らが町の魅力を発信するインフルエンサーとなる仕組みづくり

5/ふるさと納税

  • 精華町におけるふるさと納税への対応
  • ふるさと納税の伸び悩み
  • 町のシンボルとなっているいちご農家を応援するクラウドファンディングの組成(精華町民にも支援してもらう)


(※)ただし、改善策は、職員の自由な発想による提言であり、町の公式見解を示すものではありません。

発表は、職員が自ら取材して作成した動画を用いて親しみやすい形式で行われ、各グループの発表の後には、4人の住民コメンテーターからのフィードバックが行われました。また、イベント終了後には当日参加された住民からアンケートを採っています。

一般的にこのようなイベントでは「順調に進められている取り組み」に絞って発表される傾向がありますが、本フォーラムではあえて取り組みの課題にも触れ、当該課題の解決策を職員自身が考えプレゼンテーションしており、この点は他の地方公共団体ではあまり見られないユニークな点であると認識しています。また、行政側からの一方的なアピールではなく、住民の生の声としてフィードバックをその場で受けるという対話型イベントであり、「住民との距離の近さ」も大きな特徴です。その他、イベント仕立てにしている点、中堅・若手職員が主体である点(人材育成も兼ねている)、イベントの様子を収録し後日インターネットコンテンツとして公開している点も大きな特徴です。イベント全体を通じ広報キャラクターである「京町セイカ」を最大限活用している点も精華町らしさが表現されていると言えます。

EY新日本は2023年から精華町第6次総合計画進行管理支援業務を受託しており、本業務の一環として、まちづくりフォーラムの企画立案・実施の支援や、まちづくりフォーラムで発表する職員向けの研修の企画立案・開催の支援、インターネット番組の作成等の伴走支援を行っています。

精華町の「住民主体のまちづくり」を意識した総合計画進捗管理は、新しい公共の概念における「新たな住民参画モデル(共助モデル)」の取り組みとして注目すべき事例であると考えます。イベントの様子を、ぜひ動画でご覧ください。


精華町のコメント

精華町では、100人規模の住民ワークショップを開催するなど、住民参画を得て総合計画を策定してきましたが、その進捗状況の説明は十分とは言えなかったことから、精華町のまちづくりのための進み具合を多くの方に知ってもらうために、「まちづくりフォーラム」を開催することになりました。

フォーラムは、住民の皆さんに関心を持ってもらうために、動画などを交えて親しみやすい形で発表を作り上げるとともに、後日、インターネットテレビ番組として広く公開することをイメージして制作しています。

また、中堅・若手職員が発表を行うことで、人材育成を兼ねた取り組みになっていることも特徴です。

日常業務をこなしながらも、発表に向けた取材や制作活動に、創意工夫と熱意をもって取り組み、発表本番を迎えておりますので、その奮闘をぜひともご覧ください。

www.town.seika.kyoto.jp/kakuka/kikaku/1/4_2/3/soukei_6/soukei7/seikaforam/26667.html


せいかまちづくりフォーラム2024

本記事に関するお問い合わせ

サマリー

EY新日本は、精華町の「せいかまちづくりフォーラム2024」の企画・立案・運営を支援しました。精華町の「住民主体のまちづくり」は、新しい公共の概念における「新たな住民参画モデル(共助モデル)」の取り組みとして注目すべき事例です。




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