EYができること

EY TMT Business Resiliency Suite

TMT分野の先進企業は、顧客のイノベーションとディスラプション(創造的破壊)を推進する最前線に立っています。5Gサービスを展開する通信会社も、新しい動画ストリーミングサービスを開始するメディア企業も、これまでにない「アズ・ア・サービス(サービス化)」を提供するテクノロジー企業も、人々の暮らしや働き方、企業経営を根本から変えています。

⼀⽅で、ディスラプションを起こす側の企業もまたディスラプションの対象になっています。パンデミックがもたらした影響は、現在進⾏している職場環境の⾒直しを含め、TMT企業が⾃社の⼒の及ばない社外で⽣じる破壊的な出来事にいかに左右されているのかを⽰すほんの⼀例にすぎません。

サプライチェーンの混乱に始まり、気候変動の影響、法規制の改正、⼈材確保、労働者の公平性、そして地政学的緊張に対する注⽬の⾼まりなどのディスラプションは、⼀度乗り越えればすむことではなく、継続して起こり得るものとなっています。もはやビジネスでは「平常ではない」ことが「平常」になっているのです。

TMT企業にとって、ディスラプションの影響を過⼩評価することは将来をリスクにさらすことを意味します。予測不可能で急速に変化を続ける世界において、ディスラプションに対して企業ができることは、自社のレジリエンスを高めることです。つまり、効果的な意思決定とレジリエントな⼈材・企業⽂化の育成に向けて、将来を⾒据えたデータに基づくアプローチを構築していく必要があり、危機の際には、さらにその重要性が高まります。

既に取り組みを始めているTMT企業もあります。私たちの経験によれば、ディスラプションが起きている時にも成長するTMT企業は、レジリエンスの枠組みをバリューチェーン全体にわたって構築しており、さまざまな事態にリアルタイムに対応できるようになっています。先進的な企業は、このようにして、業務や顧客、利益に対するディスラプションの影響を最小限に抑えると同時に、ディスラプションによって⽣じる新しい機会をつかまえられるポジションに⽴つことができるのです。

どうすればトップグループでいられるのでしょうか。

そのために必要なことは2つあります。まずは、⾃社のビジネスの弱点や脆弱性をディスラプションが発⽣する前に把握しておくこと。次に、データに基づいた意思決定体制を確立し、不測の事態が発生したときに、どこにどのような影響が及ぼうと即座に対応できるようにしておくことです。

EYでは、特にTMT企業向けに、この2つを一度に行えるような一連のサービスを開発しました。TBRSは、人材、企業体制・文化、テクノロジーに関連してEYが提供するサービスを集積し、企業のレジリエンス実現のための統合的な枠組みとして使用できるようにしています。このようなアプローチと構成を通じて、TBRSはTMTのバリューチェーン全体にわたって、ビジネスを取り巻く環境の変化に対する継続的な適応を支え、レジリエンスを醸成します。

下の図に示すように、TBRSは企業のレジリエンスにつながる4つの中心的なテーマに基づいて構築されています。これらのテーマは、レジリエンスを「目標」から社内の日常的な「現実」に変える7つの基本要素を導入する際のロードマップの役割を果たします。

  • サプライチェーンや給与計算などの基幹業務プロセスにレジリエンスを組み込むこと。大きな混乱が生じるような不測の事態にあっても通常通りの業務運営を支えます。

  • 必要な知識、スキル、技術を備え、素早く対応できる人材。仕事や個人の生活で予想外の事態が起きても、適応できます。

  • 危機に際しての迅速な状況評価と、連携した意思決定の仕組み。最短で行動を起こし、業務への影響を最小限に抑えることができます。

  • コミュニケーションを通して根付き、「経営トップの姿勢(tone from the top)」によって導かれるレジリエンスの文化。不確実な時代に変化を予測して対応していく、組織的な能力を向上させます。

TBRSは、TMTセクターの変化に応じて時と共に進化、拡大するように組み立てられています。また、レジリエンスに対する目前のニーズだけでなく、どのような原因であろうと将来起こり得るディスラプションに対して、鳥瞰(ちょうかん)的な視点から総合的・戦略的により良い対策の検討を促すように設計されています。

TMT企業がバリューチェーン全体にわたってレジリエンスの枠組みを構築し、さまざまな事態にリアルタイムに対応ができるよう支援するため、EYのプロフェッショナルが企業のレジリエンス構築のための基本要素をまとめました。以下に説明する7つの基本要素について、EYが支援できる点が1つであろうと7つ全てであろうと、EYは包括的な総合力で企業の成功を支援します。

1. 給与関連業務の継続

給与業務の確実な継続—給与関連業務は基幹業務とは見なされない場合も多い一方で、各種法令、非効率なプロセス、複数ベンダーの混在やローカルプロセスによる一貫性の欠如、加速するテクノロジー、人事モデルの変化などによってその業務運営は日々難しくなっています。EYの給与関連業務継続のマネージドサービスは、社員の福利厚生と報酬のプロセスの事務・法令・人事の各側面に対する統合的なアプローチを通じて、企業の給与関連業務の変革と合理化を支援します。コストの削減、複雑性の低減、コンプライアンスリスクの軽減を支援し、危機発⽣時にも全ての給与関連業務の継続確保を図ります。

2. レジリエントな人事組織への転換

俊敏な人事組織の構築—進化を続ける事業モデルに対応して人事の機能とプロセスを変化させることは、多くのTMT企業にとって常に課題となっています。特に、人材管理に分散型アプローチを採ってきた企業ではそれが顕著です。TBRSの「レジリエントな人事組織への転換」では、適切なサービス提供のモデルとプロセスを、クラウドやAIなどの俊敏なシステムとテクノロジーと組み合わせられるように人事組織の構築を支援します。

3. レジリエントな人材に関する課題と公平な給与

公平な職場の実現—社員、顧客、投資家を始めとするステークホルダーの間で社会的正義と公平性の問題に対する意識が高まる中、多くのTMT企業は男女同一賃金などの法令順守にとどまらず、職務、地域など、さまざまな面における公平性に積極的に取り組もうとしています。EY TBRSには、帰属感を育む文化を醸成し、個人・チーム・組織が能力を最大限発揮するための、レジリエントな人材に関する課題と公平な給与に特化した機能やツールが用意されています。

4. 人事計画・管理

戦略と人事計画・管理の連携—パンデミックは、TMT企業が事業目標を実現するために適切なケイパビリティとキャパシティを適切なタイミングで確保する必要性を浮き彫りにしました。その一方で、人員構成の変化やM&Aによる統合などに伴う長期的な構造的課題も残っています。「人事計画・管理」では、データモデリングとデータ予測から得た知見を活用して効果的な意思決定を促し、クライアントの人材・人事戦略と事業戦略との連携強化を図ります。

5. レジリエンスとダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の文化

レジリエンスとダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の文化の定着—現在、企業文化にかつてないほど注目が集まっています。TMT企業が成功するには、事業環境の変化に合わせて企業文化を積極的に醸成し、形作っていく必要があります。TBRSでは、企業戦略に沿った文化の育成とダイバーシティの取り組みの推進に対する支援に特に焦点を当てた機能があります。ベンチマーク、現在の文化と目標とする文化に関するトレンド、そのギャップを埋めるための重点項目を扱う「EYカルチャーフィットネス診断」を、これと併せてご活用いいただくこともできます。

6. 未来の分散型労働

未来の分散型労働の実現—TMT企業は、柔軟性、持続的な事業、社員と地域社会へ良い影響をもたらすことを可能にする「未来の働き方」モデルを創出する必要があります。TBRSには、分散型労働を実現するための強力な機能が用意されています。社員はどこでどの時間に勤務しても、標準化されたインターフェースを通して複雑なタスクを遂行できます。俊敏なバーチャル環境への接続とMicrosoft社などの戦略的アライアンスパートナーを活用することで、市販ツールで堅固かつ柔軟なプラットフォームを実現し、地理的に分散したチームが成果を挙げつつリスクを回避できるように、EYのプロフェッショナルがサポートします。

7. 職場環境の見直し

職場環境の見直し—TBRSのオフィス再開に関わる機能では、人を中心に据え、また入念に準備された安全で前向きなパンデミック後のオフィス再開を計画・実施し、「ニューノーマル」を創出できるように支援します。この機能では、税務、オフィススペース、テクノロジー、安全・衛生・健康上の課題など、移行に関わるあらゆる要素が考慮されています。さらに、移行を適切に実施するために必要不可欠な社員との協議、社員からの聞き取りやフィードバックにより補完されています。

EYのチームの各種サービスでは、変化を続けるリスクとレジリエンスの状況にTMT企業が対応できるように、TBRSのさらなる進化、改良および拡張に取り組み続けます。私たちは特定の問題に対する的を絞った解決策を提案するのではなく、TMT企業の現在と将来双方のニーズに沿った、体系的で一貫性のある完全統合型のサービスを提供します。レジリエンスに対するこの統合的・総合的なアプローチが、私たちの差別化ポイントだと考えています。

TMT企業の幹部には、答えなければならない問いが2つあります。1つは「自社の弱みはどこにあるのか」。もう1つは「ディスラプションが発生したときの対策は把握できているのか」です。TBRSをご活用いただくことで、この両方の質問にYESと答えられます。企業の真のレジリエンスは、ここから始まります。


チーム

お問い合わせ
より詳しい情報をご希望の方はご連絡ください。