Question
当社(P社)は、設立時から80%の持分を所有している連結子会社S社(S社株式の帳簿価額800)について、平成25年9月改正の連結財務諸表に関する会計基準が適用される連結会計年度の期首(H27.4.1)に連結子会社(S社)株式を追加取得(追加取得額900)し、100%の持分比率にした上で、翌連結会計年度期首(H28.4.1)にS社を吸収合併します。S社株式の追加取得により連結財務諸表で計上された資本剰余金は、P社の個別財務諸表における合併処理上も計上されることになるのでしょうか。 S社のB/Sは以下のとおりです。
S社のB/S | H27.4.1 | H28.3.31 |
諸資産 | 4,000 | 5,000 |
諸負債 | 1,000 |
1,000 |
資本金 | 500 |
500 |
資本剰余金 | 500 | 500 |
利益剰余金 | 2,000 | 3,000 |
負債・純資産計 | 4,000 | 5,000 |
Answer
子会社株式の追加取得により連結財務諸表で計上される資本剰余金は、親会社が当該子会社を吸収合併したときには、親会社の個別財務諸表上は抱合せ株式消滅差損益に含まれることになります。
なお、連結財務諸表上、親会社の個別財務諸表で計上された抱合せ株式消滅差損益は、取得後利益剰余金及び資本剰余金に振り替えることになります。
設例
H28.3期
P社の個別財務諸表の仕訳
追加取得
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
S社株式 | 900 | 現金 | 900 |
P社の連結財務諸表の仕訳
開始仕訳
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
資本金 | 500 | S社株式 | 800 |
資本剰余金 | 500 | 非支配株主持分 | 600 |
利益剰余金(期首) | 400 |
追加取得
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
非支配株主持分 | 600 | S社株式 | 900 |
資本剰余金※1 | 300 |
H29.3期
P社の個別財務諸表の仕訳
合併仕訳
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
諸資産 | 5,000 | 諸負債 | 1,000 |
S社株式 | 1,700 | ||
抱合せ株式消滅差益※ | 2,300 |
※取得後利益剰余金持分額2,600(=2,000×80%+1,000×100%)-追加取得による連結上の資本剰余金 300=2,300
P社の連結財務諸表の仕訳
開始仕訳
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
資本金 | 500 | S社株式 | 800 |
資本剰余金 | 500 | 非支配株主持分 | 600 |
利益剰余金(期首) | 400 | ||
非支配株主持分 | 600 | S社株式 | 900 |
資本剰余金 | 300 |
開始仕訳の戻し
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
S社株式 | 800 | 資本金 | 500 |
非支配株主持分 | 600 | 資本剰余金 | 500 |
利益剰余金(期首) | 400 | ||
S社株式 | 900 | 非支配株主持分 | 600 |
資本剰余金 | 300 |
抱合せ株式消滅差益の消去
(借) | (貸) | ||
---|---|---|---|
抱合せ株式消滅差益 | 2,300 | 利益剰余金(期首) | 2,600 |
資本剰余金 | 300 |
根拠条文
- 「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
第206項(2)①ア、第208項