債務超過の100%子会社との合併の可否と合併差損の会計処理

2019年9月30日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

債務超過の100%子会社を吸収合併することについて
①債務超過の状態にある100%子会社を吸収合併することができるのでしょうか。
②合併可能であるとすれば、会計処理はどのようになるのでしょうか。

Answer 

①債務超過の状態にある100%子会社との合併は、会社法の条文上は明確な記載はありませんが、立法担当者の見解によると債務超過会社を消滅会社とする吸収合併は可能であると解されています(*)。

②当該100%子会社の合併直前の貸借対照表を以下に示します。

仕訳

親会社における当該100%子会社の取得価額を、100,000とすると吸収合併の受入仕訳は、以下のようになります。

仕訳

親会社が100%子会社を吸収合併する場合、子会社から受け入れた資産と負債の差額のうち、株主資本については親会社が合併直前に保有している子会社株式(抱合せ株式)の帳簿価額との差額を特別損益に計上するものとしています。

本事案では、子会社から受け入れた資産と負債の差額が、債務超過であるため、これがマイナスの金額となっているので、当該マイナス金額が特別損失に含まれることとなります。

(*)参考文献:相澤・葉玉・郡谷編著「論点解説 新・会社法」 商事法務

根拠条文

  • 企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針 第206項(2)①ア

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