Question
これまで役員退職慰労金制度に基づいて役員退職慰労引当金を設定していましたが、当該制度を廃止する場合、どのような会計処理及び表示が必要になるでしょうか。
Answer
役員退職慰労金制度廃止前の役員在任期間に対応する役員退職慰労金の支給見込額(役員退職慰労引当金の既計上額)の取り扱いに応じて会計処理及び表示が異なります。
①役員退職慰労金制度の廃止にともない、株主総会において役員退職慰労金制度廃止前の役員在任期間に対応する役員退職慰労金の支給見込額を支給する旨の決議を行い、かつ役員の退任時まで実際の支給を留保するのであれば、当該支払留保金額は、退任という条件付き債務であると考えられます。よって、当該役員退職慰労金の支給見込額は、未払金または長期未払金として表示されると考えられます。
②役員退職慰労金制度の廃止時点に、株主総会において役員退職慰労金制度廃止前の役員在任期間に対応する役員退職慰労金の支給見込額を支給する旨の決議を行わず、役員の退任時に改めて支給額についての承認決議を行う場合、当該役員退職慰労金の支給見込み額は、法律上の債務には該当しないことから、従来と同様に役員退職慰労引当金として表示されると考えられます。
③役員退職慰労金制度の廃止時点に、株主総会において役員退職慰労金制度廃止前の役員在任期間に対応する役員退職慰労金の支給見込額を支給しない旨の決議を行った場合には、役員退職慰労金制度の廃止時点までに計上された役員退職慰労引当金計上額を全額取り崩すと考えられます。
根拠条文
- 「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」3.(1)③