「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正のポイント

2019年6月28日
カテゴリー 会計情報トピックス

公認会計士 武澤 玲子

金融庁から2019年6月21日に公布

2019年6月21日に、「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令」等(以下「本改正」という。)が公布されています。

本改正は、一定の要件を満たす譲渡制限付株式の募集又は売出しについてストック・オプションと同様、有価証券届出書の提出を不要とし、臨時報告書の提出事由とすること、監査人の異動に関して監査役の意見の記載や当該移動する監査人の意見を、臨時報告書により積極的に記載できるようにすること等を内容としています。

1. 改正された府令

  • 金融商品取引法施行令
  • 企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)
  • 企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)
  • 開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する留意事項について(電子開示手続等ガイドライン)

2. 本改正の概要

(1)株式報酬に係る開示規制の見直し

近年、経営陣等にインセンティブを付与するための業績連動報酬として、譲渡制限付株式を交付する企業が増加していることを踏まえ、以下の条件を満たす譲渡制限付株式の募集又は売出しについては、ストック・オプションと同様、有価証券届出書の提出を不要とし、臨時報告書の提出事由とすることとしています(開示府令2条1項、2項、3項、19条2項2号の2、企業内容等開示ガイドライン4-2、24の5-14-2、24の5-14-3)。

  • 交付対象者が発行会社等の役員等に限られていること
  • 発行する株式に譲渡についての制限に係る期間が設けられていること

(2)「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」報告書を踏まえた見直し

監査人の異動に関して、以下の改正を行っています。

  • 臨時報告書に監査役等の意見の記載や当該異動する監査人の意見をより積極的に記載できるようにすること(開示府令19条2項9号の4ハ(1)、(5)、企業内容等開示ガイドライン24の5-23-2)
  • 臨時報告書に監査人の異動の実質的な理由の記載がなされるよう、企業内容等開示ガイドラインに具体的な交代理由を例示すること

(3)電子開示手続等を行う場合の電子証明書の使用に関する留意事項の見直し

開示用電子情報処理組織を利用して電子開示手続又は任意電子開示手続を行う場合に、電子証明書を使用することができるとして留意事項を廃止することとしています(電子開示手続等ガイドライン3-2の削除)。

3. 適用時期

上記(1)の改正については2019年7月1日に施行される予定です。上記(2)、(3)の改正については2019年6月21日付で公布・施行されています。

4. 改正案からの主な変更点

ストック・オプションと同様に届出不要となる条件を充足した譲渡制限付株式については、並行募集・通算規定の対象外となることが明確化されました。

なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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