公認会計士 村田貴広
ASBJから平成30年9月14日に公表
平成30年9月14日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より以下の実務対応報告(以下、合わせて「本実務対応報告」という。)が公表されています。
- 改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」(以下「改正実務対応報告第18号」という。)
- 改正実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」(以下「改正実務対応報告第24号」という。)
本実務対応報告は、平成18年の実務対応報告第18号の公表から本公開草案の検討時点までの間に、新規に公表又は改正されたIFRS及び米国会計基準のうち、修正項目として追加する項目を示すことを目的として公表されたものです。
1. 本実務対応報告の概要
(1)資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整に関する取扱い
改正実務対応報告第18号では、在外子会社等において国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」という。)を適用し、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合に、当該資本性金融商品の売却を行ったときに、連結決算手続上、当該資本性金融商品の売却損益相当額を当期の損益として修正することとされています。
また、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の定め又は国際会計基準(IAS)第39号「金融商品:認識及び測定」の定めに従って減損処理の検討を行い、減損処理が必要と判断される場合には、連結決算手続上、評価差額を当期の損失として計上するよう修正することとされています。
持分法適用関連会社において改正実務対応報告第18号に準じて処理を行う場合にも、当該修正を行うこととされています。
2. 適用時期等
(1)原則適用
改正実務対応報告第18号は、平成31年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとされています。
(2)早期適用
(1)の定めにかかわらず、改正実務対応報告18号の公表日以後最初に終了する連結会計年度及び四半期連結会計期間において早期適用することができることとされています。
(3)実務上の実行可能性に関する経過措置
(1)の定めにかかわらず、修正項目に対応するための整備に一定の時間を要する場合に配慮し、平成32年4月1日以後開始する連結会計年度の期首又は在外子会社等が初めてIFRS第9号を適用する連結会計年度の翌連結会計年度の期首から適用することができることとされています。この場合、その旨を注記することとされています。
(4)適用初年度の取扱い
適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととされています。会計方針の変更による累積的影響額を当該適用初年度の期首時点の利益剰余金に計上することができるものとし、この場合、在外子会社等においてIFRS第9号を早期適用しているときには、遡及適用した場合の累積的影響額を算定する上で、在外子会社等においてIFRS第9号を早期適用した連結会計年度から平成30年改正実務対応報告の適用初年度の前連結会計年度までの期間において資本性金融商品の減損会計の適用を行わず、改正実務対応報告18号の適用初年度の期首時点で減損の判定を行うことができることとされています。
(5)公表日以後最初に終了する四半期連結会計期間から早期適用する場合の取扱い
公表日以後最初に終了する四半期連結会計期間に改正実務対応報告18号を早期適用し、会計方針の変更による累積的影響額を適用初年度の利益剰余金に計上する場合、会計方針の変更による累積的影響額を早期適用した四半期連結会計期間の期首時点ではなく連結会計年度の期首時点の利益剰余金に計上することとされています。また、早期適用した連結会計年度の翌年度に係る四半期連結財務諸表においては、早期適用した連結会計年度の四半期連結財務諸表(比較情報)について改正実務対応報告18号の定めを当該早期適用した連結会計年度の期首に遡って適用することとされています。
なお、改正実務対応報告第24 号においても、適用時期等について改正実務対応報告第18 号と同様とされています。
3. 公開草案からの主な修正点
字句等の軽微な変更を除き、内容に関わるような公開草案からの変更はありません。
なお、本稿は本実務対応報告の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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