公認会計士 横井貴徳
内閣府令第7号が平成30年3月23日に公布
平成30年3月23日に、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下「本改正」という。)が公布されています。
本改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)において、企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」が公表されたことを受け、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について所要の改正を行ったものです。
1. 改正された規則等
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
- 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)
- 中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)
- 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期財務諸表等規則)
- 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)
- 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財規ガイドライン)
- 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(連結財規ガイドライン)
2. 本改正の概要
平成30年2月16日に公表された企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」では、税効果会計の表示及び注記に関する事項が規定されていますが、本改正では、これに合わせる形で、財務諸表等規則等においても以下の規定が追加されています。
(1)表示(財務諸表等規則第31条第5号、第51条、第54条、連結財務諸表規則第22条、第36条、第45条、中間財務諸表等規則第12条、第27条、中間連結財務諸表規則第24条、第37条、四半期財務諸表等規則第29条、第43条、四半期連結財務諸表規則第34条、第48条)
従前の取扱いでは、繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、繰延税金資産については流動資産又は投資その他の資産として、繰延税金負債については流動負債又は固定負債として表示しなければならないとされていましたが、本改正においては、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示することとなります。
(2)注記(財務諸表等規則第8条の12、連結財務諸表規則第15条の5、財規ガイドライン8の12-2-1、連結財規ガイドライン15-5)
税効果会計に関する注記事項として以下の事項を開示することとなります。
① 評価性引当額の内訳に関する情報
ⅰ 評価性引当額
繰延税金資産の発生原因別の主な内訳(以下「発生原因別の注記」という。)として、法人税等に係る法令の規定において繰越しが認められる期限まで繰り越すことができる欠損金額(以下「繰越欠損金」という。)を記載している場合であって、当該繰越欠損金の額が重要であるときは、繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載する。
ⅱ 評価性引当額に重要な変動が生じた場合には、その主な内容
② 繰越欠損金に関する情報
ⅰ 発生原因別の注記として繰越欠損金を記載している場合であって、当該繰越欠損金の額が重要であるときは、繰越期限別に次の数値を記載する。
- 繰越欠損金の額に税率を乗じた額
- 繰越欠損金に係る評価性引当額
- 繰越欠損金に係る繰延税金資産
ⅱ 繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由を記載する。
③ 連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記事項
連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表における税効果会計に関する注記事項については、評価性引当額の内訳に関する数値情報(上記①ⅰ)のみを追加することになります。
3. 適用時期
企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」と同様の適用とすることが示されています。すなわち、平成30年4月1日以後開始する連結会計年度(事業年度)の期首から原則適用とし、平成30年3月31日以後最初に終了する連結会計年度(事業年度)の年度末から早期適用可能とすることが示されています。
4. 公開草案からの主な変更点
字句等の軽微な変更を除き、内容にかかわるような公開草案からの変更はありません。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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