債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱いのポイント

2017年3月31日
カテゴリー 会計情報トピックス

会計情報トピックス 武澤玲子

ASBJから平成29年3月29日に公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成29年3月29日に実務対応報告第34号「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)を公表しています。

本実務対応報告は、国債等の利回りでマイナスが見受けられる状況に関連して、退職給付債務、勤務費用及び利息費用(以下合わせて「退職給付債務等」という。)の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りがマイナスとなる場合の割引率に関する当面の取扱いを示すことを目的として公表されたものです。

1. 本実務対応報告の概要

(1)会計処理(本実務対応報告第2項)

退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りがマイナスとなる場合、以下のいずれかの方法によることとされています。

  • 利回りの下限としてゼロを利用する方法
  • マイナスの利回りをそのまま利用する方法

2. 適用時期(本実務対応報告第3項)

本実務対応報告は、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度に限って適用することとされています。

なお、本論点に関しては、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを定めたガイダンスの公表に向けて引き続き検討を行い、当該検討の進捗状況によっては、本実務対応報告における取扱いを平成30年3月31日以後に終了する事業年度も継続することを検討することとされています。

3. 公開草案からの主な修正点

内容にかかわるような公開草案からの変更はありません。

なお、本稿は本実務対応報告の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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