米国税務アップデート 個人納税者番号に係る新ガイドライン

米国税務アップデート 個人納税者番号に係る新ガイドライン

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EY 税理士法人

2016年9月14日

Japan tax newsletter 2016年9月14日号

概要

2016年8月4日、米国歳入庁(Internal Revenue Service、以下「IRS」)は個人納税者番号(Individual Taxpayer Identification Number、以下「ITIN」)の失効及び更新に関する重要な新ガイダンスを発表しました。ITINは、社会保障番号(Social  Security Number、以下「SSN」)を取得する資格のない個人に対し、IRSより申告用に発行される番号のことです。新ガイダンスによれば、失効の対象となるITINを保持している納税者は、2016年10月1日よりITINを更新できます。

失効となるITINは、過去3年間において連邦税申告書に一度も使用されていないITINです。同様に、2013年以前に発行されたITINについても順次失効するため、更新の必要があります。例えば、2007年末以前に発行されたITINは、過去3年間の連邦申告書において使用されていても2017年1月1日に失効となるため、2016年度申告のために更新をする必要があります。

背景

2015年12月に制定されたProtecting American from Tax  Hikes(PATH)Actは、ITINの失効について決めていました。今回のガイダンスは、PATH Actにより決められた失効するITINの更新について納税者をサポートするものです。

ITINとはIRSより発行され、社会保障番号(SSN)と同様に9桁(XXX-XX-XXXX)で構成される申告用の番号です。どのITIN番号も最初の番号は9から始まり、4桁と5桁目が50-65、70-88、90-92、94-99と指定されています。

IRSは、SSNを取得する資格のない個人に対し申告用にITINを発行します。PATH Act以前においては、納税者はITINを一度取得すれば、その番号を継続して使用することができました。しかし、PATH Actにより、過去3年間の連邦税申告書に使用されていないITINは、更新しない限り失効することとなりました。すなわち、過去3年間連続で連邦税申告書にITINを使用していない場合、3年目の12月31日にITINは失効となります。また、2013年1月1日以前に発行されたITINに関しては、たとえ過去3年以内に使用されていたとしても、注1のスケジュールに従い失効します。

ITIN更新が必要となる納税者

IRSは、2016年申告書を提出する必要がないITIN保持者については、更新の必要性がないことを明示しています。反対に、2016年度申告にあたり、主に以下の2つのグループがITIN更新の対象となります:

  • 使用されていないITIN

過去3年間(2013-2015年)の連邦税申告書に一度も使用されていないITINは、2017年1月1日に失効となります。これに該当し、2016年度申告が必要となるITIN保持者は、ITINの更新をする必要があります。更新は2016年10月1日より可能です。

  • 期限切れになるITIN

2013年以前に発行されているITINに関しても、2017年1月1日以後、順次失効となります。まず失効となるITINは、4・5桁目が78と79(例:9XX-78-XXXX)のITINです。これに該当するITINの更新も2016年10月1日より可能です。IRSは2016年8月より、これに該当するITIN保持者に対し、更新の通知と手続きに関する手紙の郵送を開始します。4、5桁目が78か79以外のITINの失効及び更新に関するスケジュールは、今後発表される予定です。

ITINの更新手続き

ITINの更新には、2016年9月に発表される新様式(Rev. 9-2016)のW-7"Application for IRS Individual Taxpayer Identification Number"の提出をもって行います。IRSは納税者の負担を減らすため、申告書にW-7を添付するのではなく、W-7を単独で提出することを認めています。

様式W-7の提出は以下の3つのいずれかの方法により行うことができます:

  • 本人確認書類の原本、又は原本を発行した当局により認証された本人確認書類のコピーと様式W-7を合わせて、IRSの指定住所へ郵送(本人確認書類は60日以内に返却される)
  • IRSに認定されているCertified Acceptance Agents(もしくはAcceptance Agent)による本人確認面談を受け、本人確認書類のコピーと様式W-7をIRSへ提出
  • 本人確認書類の原本をIRSに郵送する代わりにIRS Taxpayer Assistance Center(米国のみ)に事前に電話し予約をした上で様式W-7を持参

納税者は申告書提出時にもITINを更新することができますが、この方法は申告手続きを遅らせる可能性があるため、あまり勧められません。

家族オプション

IRSはITINの更新手続きをより簡易的にするため、家族オプション(Family Option)を提供しています。4、5桁目が78か79のITINを保持しており、IRSから更新の手紙を受理した個人は家族全員のITINを同時に更新することができます。家族全員のITINを同時に更新することによって、失効時期が異なるITINについて個別の更新をする必要がなくなります。家族には税務申告上の配偶者や扶養家族が含まれます。

パスポートに米国への入国日が記載されていない扶養家族に対する新しい要件

これまでパスポートは、単独で本人確認書類とみなされていました。しかし、2016年10月1日より、カナダ及びメキシコ以外から渡米している、又は、海外の米軍メンバー以外の扶養家族については、入国日の記載が入ったパスポートである場合のみ、単独にて本人確認書類となります。米国への入国日が記載されていないパスポートはITIN申請の際に追加の本人確認書類が必要となります。

ITINに関するその他の情報

ITINは連邦所得税の納税目的のみに使われ、それ以外の目的のために使用することはできません。第三者よりIRSに提出される情報開示用の申告書のみに使用されているITINについては、更新の必要はありません。

※本アラートの全文は、下記PDFからご覧ください。

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