OECD、最終BEPSレポートを公表 - キャプティブ保険会社に対する影響

OECD、最終BEPSレポートを公表 - キャプティブ保険会社に対する影響

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EY 税理士法人

2015年11月19日
カテゴリー その他

Japan tax alert 2015年11月19日号

2015年10月5日、経済協力開発機構(OECD)は、税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対する行動計画における15の重点分野に関する最終レポートを公表しました。これらの行動は、即時に効力を持つものもあれば、多国間協定又は個々の政府のいずれかにより今後数カ月及び数年にわたって導入されるものもあります。

これらのレポートは、キャプティブ保険会社に重要な影響を及ぼす可能性があります。最終レポート全体を通じてキャプティブに影響がある多数の言及があり、OECDがキャプティブを利益移転の潜在的な源泉とみなしていることは明確です。例えば、公表されたガイダンスは、税務目的における「商業的に不合理(commercially irrational)」なグループ内保険取引の非認識につながる可能性があります。さらに、キャプティブは銀行及び保険グループについて策定される予定の利子の損金算入に関する特別なルールから除外されており、かつ外国子会社合算税制(CFC税制)の標的となるべき所得の種類に明示されています。

最終BEPSレポートを通じたこれらのキャプティブに影響がある言及の結果として、国内の税務当局は、OECDのBEPSに係る推奨事項を導入及び執行する中で、キャプティブに対してますます積極的な姿勢を取るようになる可能性があります。BEPSに係る提案のいくつかは、一部の国・地域において即時に効力を持つ可能性があることに留意することが重要です。

本アラートは、最終BEPSレポートがキャプティブ保険会社を持つグループにどのような影響を及ぼし得るかを示しています。

キャプティブ保険会社を持つグループが、以下の行動に直ちに取り組むことを強く推奨します。

  • 業務モデルをレビューし、必要とされる場合には修正する
  • 保険対象、キャプティブ及びグループ全体にとっての当該アレンジメントから生じる資本又はその他の商業的な恩恵を評価する
  • 移転価格のアプローチをレビューし、適切となるよう更新/修正する

影響

最終レポート全体を通じて多数のキャプティブへの影響が想定される言及があり、OECDがキャプティブを利益移転の潜在的な源泉とみなしていることは明確です。最終BEPSレポート全体を通じたこれらのキャプティブに対する否定的な言及の結果として、国内の税務当局は、新たなガイドライン及び推奨された国内法の変更を導入する中で、キャプティブに対してますます積極的な姿勢を取るようになる可能性があります。

例として、特定の国は租税回避防止法を(最終BEPSレポートの公表に先立って)既に導入していますが、注目すべき動向の1つが英国の迂回利益税(DPT: Diverted Profits Tax)であり、これは上記の恒久的施設及び「移転価格の結果と価値創造の整合」の行動から生じるテーマにつながる早期の英国の行動とみなすことができます。DPTは、英国を迂回する利益に課税することを目指しており、2015年4月1日以降に効力を有するアレンジメントに適用され、キャプティブのアレンジメントを標的とする具体的なガイドラインを含んでいます。2015年9月16日に、オーストラリアは2016年1月1日に発効する多国籍租税回避防止法(Multinational Anti-Avoidance Law)の下における類似の規定を導入しました。その他の国も、BEPSに係る推奨事項のいくつかを導入しようとする取組みにおいてこれに追随し、類似の規定を導入する可能性があります。

EYは、キャプティブ保険会社を持つグループが以下の行動に直ちに取り組むことを強く推奨します。

  • 業務モデルをレビューし、必要とされる場合には修正する
  • 保険対象、キャプティブ及びグループ全体にとっての当該アレンジメントから生じる資本又はその他の商業的な恩恵を評価する
  • 移転価格のアプローチをレビューし、適切になるよう更新/修正する

また、キャプティブ保険会社を持つグループは、国内の税務の動向について税務当局と議論し、キャプティブのアレンジメントを標的とする新たなルールを導入する推奨事項に対応する必要があります。

※本アラートの詳細は、PDFでご覧いただけます。

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