【速報】VCファンド等の組合等への出資持分に係る取扱いの見直し(金融商品実務指針の改正案)の公表

2024年9月20日
カテゴリー 会計情報トピックス

企業会計基準委員会(ASBJ)から2024年9月20日に、移管指針公開草案第15号「金融商品会計に関する実務指針(案)」(旧会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」の改正案)(以下「本公開草案」という。)が公表されましたので、本公開草案の概略をご紹介いたします。 

なお、詳細な解説につきましては後日ウェブページで公開いたしますので、併せてご参照ください。 

1. 本公開草案の概要 

我が国においては、市場価格のない株式については取得原価をもって貸借対照表価額とするとされていることから、企業が投資する組合等(※)の構成資産が市場価格のない株式である場合、これらについても取得原価で評価することとなります。 

これに関して、近年、ファンドに非上場株式を組み入れた金融商品が増加しており、これらの非上場株式を時価評価することによって、財務諸表の透明性が向上し、投資家に対して有用な情報が開示及び提供されるとして、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価するよう、会計基準を改正すべきとの要望が聞かれました。 

こうした状況を受けて、ASBJにおいて、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を中心とする範囲に限定し、企業が保有するベンチャーキャピタルファンドの出資持分に係る会計上の取扱いの見直しを目的として会計基準の開発に着手することとし、検討が重ねられ、本公開草案が公表されました。 

(※)任意組合すなわち民法上の組合、匿名組合、パートナーシップ、及びリミテッド・パートナーシップ等(移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」という。)132項)。組合等への出資については、原則として、組合等の財産の持分相当額を出資金として計上し、組合等の純損益の持分相当額を当期の純損益として計上する。 

(本公開草案の主な取扱い)

No. Product Price
1 対象となる組合等の要件

(1) 組合等の運営者は出資された財産の運用を業としている者であること  

(2) 組合等の決算において、組合等の構成資産である市場価格のない株式について時価をもって評価していること 

2 出資者である企業の会計処理
  • 1の要件を満たす組合等への出資は、当該組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることができる 
  • この場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上する
3 企業の選択に関する方針 組合等への出資者である企業は、本公開草案の定めを適用する組合等の選択に関する方針を定め、当該方針に基づき、組合等への出資時に適用対象かどうか決定する(なお、出資後に取りやめることはできない)
4 減損処理 本公開草案の定めを適用する組合等の構成資産である市場価格のない株式については、市場価格のない株式等の減損処理に関する定め(金融商品実務指針92項)に代わり、時価のある有価証券の減損処理に関する定め(金融商品実務指針91項)に従って減損処理を行い、組合等への出資者の会計処理の基礎とする

2. 適用時期 

以下の適用時期が提案されています。

区分 適用時期 3月決算会社の
想定時期(※)
原則適用 20XX年4月1日(公表から1年程度経過した日を想定している。)以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用 2027年3月期 
早期適用 20XX年4月1日(公表から最初に到来する年の4月1日を想定している。)以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用可
2026年3月期

※ 2025年3月31日までに最終基準が公表された場合

ASBJの公開草案全文はこちらをご参照ください。

ASBJウェブサイトへ

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