会計情報トピックス 吉田剛
内閣府令第57号が平成26年8月20日に公布
平成26年8月20日に、内閣府令第57号「企業内容等の開示に関する内閣府令及び財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(以下「本改正」という。)が公布され、関連するガイドラインも同日付で公表されています。
本改正では、新規上場時に提出される有価証券届出書に掲げられる財務諸表の年数の短縮や、非上場の国際財務報告基準(IFRS)適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げられる連結財務諸表の年数の短縮が示されています。
1. 改正された府令等
- 「企業内容等の開示に関する内閣府令」(開示府令)
- 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(監査証明府令)
- 「企業内容等の開示に関する留意事項について」
- 「『財務諸表等の監査証明に関する内閣府令』の取扱いに関する留意事項について」
2. 本改正案の概要
(1)新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数短縮
平成25年12月に金融審議会から公表された「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書での提言を踏まえて、新規上場時に有価証券届出書に掲げられる財務諸表の年数が、現在の5年分から2年分へと短縮されました(開示府令 第二号の四様式(第三部 第1)及び同様式(記載上の注意)(22))。
また、同じく新規上場時に有価証券届出書に掲げられる主要な経営指標等の推移(いわゆる「ハイライト情報」」)のうち、連結ベースの指標については、これまでの5年分から2年分へと記載対象期間が短縮されます。なお、個別ベースの指標は、これまでどおり5年分の記載が必要とされていますが、直近2年間よりも前の年度の数値については、会社計算規則の規定に基づいた数値を記載することでできることとされました。
(2)非上場のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表の年数
IFRSの任意適用に係る要件の緩和により、非上場会社であってもIFRSに準拠した財務諸表の作成が可能となったことを踏まえて、非上場会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げられる連結財務諸表が、比較情報を含む最近連結会計年度分のみの記載で足りるとする規定へと変更されます(開示府令 第二号の四様式及び同様式(記載上の注意)(12)から(15))。なお、IFRS適用の非上場会社が初めて提出する有価証券届出書における日本基準による要約連結財務諸表の記載が免除されることとなりました(開示府令 第二号様式(記載上の注意)(30)d)。
また、これに合わせて、非上場会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げられる連結財務諸表に対する監査報告書について、比較情報に関する意見表明の方法に係る規定が整備されました(監査証明府令第4条第2項)。
(3)その他
有価証券届出書に掲げられる四半期情報や、四半期報告書及び半期報告書の記載事項について、平成27年4月1日以後開始する連結会計年度から適用となる企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」の改正事項(「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」とする改正など)の影響が反映されています。
3. 適用時期
改正後の規定は、公布日において施行され、同日から適用となっています。
なお、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」の改正に伴い、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」にするなどの改正項目については、平成27年4月1日以後開始する連結会計年度から適用されます。
4. 公開草案からの主な変更点
第二号の四様式において、第二号様式と同様、四半期(連結)貸借対照表を掲げた場合には、四半期(連結)損益計算書及び四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書の記載が必要である点が示されました。なお、この変更については、中間(連結)財務諸表についても同様です。
また、2.(2)に示したとおり、非上場のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書においては、日本基準による要約連結財務諸表の記載が免除されます。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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