旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』ー 第81回 官民連携「ウーマンエコシステム®」で女性が活躍する社会を創る

2024年10月23日

美宝 れいこ
エール株式会社 代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2024年1月10日・20日合併号に掲載された記事をご紹介します。

私の人生が大きく変わったのは、突然訪れた母の他界でした。社会人になり、数回転職して辿り着いた社員600人、年商120億円規模の企業で、年収も1,000万を超え、女性初の事業部長として充実したキャリアを積み、これからもっと親孝行ができるという時期でしたし、父が亡なってからずっと大切にしてきた母だったので、母との別れは精神的バランスが崩れてしまうほど大きなダメージでした。

家族や同僚の支えもあり少しずつ前を向き始め、自分の存在意義や後悔しない人生を模索していた時、「起業」という選択肢に気がつきました。起業という光がみえたことで、再び立ち上がるきっかけとなり、好きなアロマをベースとして関連する資格を取るところからスタートしました。

会社員を続けながらアロマサロンを開業しSNSで発信を続けていると、キャリアに悩む女性達から、副業の始め方やキャリア形成について多くの相談を受けるようになったので、サロンと並行してキャリア相談もスタートさせました。多くの女性の悩みと接してきたことが、今の事業の原点にもつながっています。

会社員で副業を始めてから1年後、女性のキャリア支援事業で独立起業しました。ずっとサブとしての「副業」という表現がしっくりこなかった時、すべてが本業という「複業=パラレルキャリア」という言葉に出会い、この概念を広めるために女性支援団体パラレルキャリア推進委員会®を設立しました。団体は、働く女性を応援する「エールプロジェクト」を運営し、女性が学べて、つながれて、挑戦できる場の創出に取り組んでいます。

女性の活躍を推進しよう!と叫ばれてから数年経過しましたが、国の数値目標はいまだに届かず、環境改善もなかなか進まないなか、2023年ジェンダーギャップ指数では先進国でワーストになり、前年よりも後退してしまいました。女性が活躍する社会は、女性自身だけではなく企業や日本経済にも大きなプラスの影響を与えます。1人でも多くの女性が輝く未来を創ることが、日本を再び押し上げる方法でもあるのです。

現在、パラレルキャリア推進委員会®には、国内外から3,000名以上の女性が集結しています。この可能性に満ち溢れた女性人財を、もっと社会で有効に活かすことができれば、絶対に地方創生や企業成長につながっていく、という強い想いから、女性を包括的に支援する官民連携「ウーマンエコシステム®」を考案・構築しました。

ライフステージの変化やジェンダーバイアスなど、まだまだ女性が活躍しにくい社会構造が続いているのは事実ですが、以前よりは確実に、女性も活躍できる社会へと向かっています。いつか「女性活躍推進」という言葉自体がなくなり、“個”として、男女関係なく、すべての人が当たり前に活躍できる社会にしていくためには、社会が変わるのを待っているだけではなく、1人ひとりの意識や行動も変えていくことが近道だと考え、この事業こそが貢献できると心から信じて取り組んでいます。

美宝 れいこ

美宝 れいこ(みほ・れいこ)
エール株式会社 代表取締役
パラレルキャリア推進委員会® 代表略歴

1979年千葉県生まれ。2016年に会社員から独立しパラレルキャリアコンサルタントとして女性を支援。2018年に法人化しエール株式会社を創業。「女性活躍推進×複業推進」をテーマに「コミュニティ・スクール・プロダクション」の一体型プラットフォーム「ウーマンエコシステム®」を考案。3,000名以上の女性が在籍する組織へと拡大させ、東京都との協働事業や大阪・関西万博共創パートナーにも採択。講演、執筆、審査員なども幅広く活動。