旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第78回 アトピーの挑戦からみえる世界へ

高原 千晶
株式会社Genon 代表取締役社長

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2023年10月10日号に掲載された記事をご紹介します。

私は、アトピー性皮膚炎が原因でドクターストップで離職したことがあります。

アトピー性皮膚炎は国民の7~15%が罹患している国民病であり、症状に個体差が大きく、痒みに伴い生活の質が著しく損なわれることから、個別化医療の対策は急務となっています。そのため、患者の自宅状態の把握が重要になります。

ですが、医療現場において診療時間は、1人当たり1、2分程度しかありません。結果、原因や対応策が見出しづらく、待ち時間が長い割に薬が合わずに改善されない、などの不満から病院を転々としてしまう人が多く何十年と付き合う方も少なくはありません。

その課題を解決すべく、アトピー性皮膚炎に特化したヒフメドを提供しています。弊社が介入することにより、皮膚科医と患者の双方の意思決定の質とスピードがあがり、無駄なabテストはなくなります。それにより、最小の薬剤、疾患予測で、治療効率を上げることができます。卒炎できる人を増やしていきます。

小学生で生きることに疲れた

小学校1年生のころ、飛び降り自殺を間近で見たのをキッカケに、生死について意識するようになりました。ジャングルジムで1段ずつ頭から飛び降りて人間はどうなるのか? を自己実験するなど、好奇心が強い幼少期でした。

のんびり生きていると世界情勢は指数関数的に伸びて行くのが見ていて面白く、早く社会人になりたい、と漠然とした不安を感じていました。今思うとよくある青春時代を過ごせなかったと思います。社会人になってからは、自分が好きな人生を歩みたいと漠然と思いました。

起業は再び人生を解放する

20歳のドクターストップの時に「起業するならこのアトピーだ」と実感しました。その後、ITを学ぶべくモノタロウに入社し、医療バックがほしく病院に務めました。

2021年の起業準備から考えるとGenon社は約3年の活動です。今まで関わることのできなかった方との出会いが多く、年齢や国籍問わず多種多様なスキルをもつメンバーや、上場企業の社長、有名人との出会いは、圧倒的に今までの人生よりも楽しく、過ごせています。

今後の思い

Genon社はもっともらしい分析も、他人事のような評論も、もう聞き飽きました。

この困難な時代にしたたかに希望を実現していくことが最高の娯楽です。

本事業を通して、1人でも多くの治験データを提供し、病気の解明や創薬・研究に活かしたいと思っております。そして、病気や人体の解明に少しでも貢献し、病気に対する不安や疑問点をなくしたいと思っています。

将来的には、海外で多くの患者様に利用してもらうことをめざしております。そのために、日本でアプリの基盤を作り、認知度拡大に取り組んでまいります。

この火種が誰かの命を救うことができたらこれほど嬉しいことはありません。

高原 千晶

高原 千晶(たかはら・ちあき)
株式会社Genon 代表取締役社長

略歴

1993年生まれ大阪市北区出身。新卒でパティシエとして勤務、アトピーが悪化し退職。株式会社MonotaROや病院勤務でITと医療を経験。2022年に株式会社Genonを創業。日本経済新聞や、U-25 kansai pitch contest優秀賞。大阪市立大学アクセラレーションなど最優秀賞など受賞。East venuturesらから1億円を調達。