連結納税制度の繰延税金資産(法人税)の回収可能性

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

連結納税制度を適用している場合、繰延税金資産(法人税)の回収可能性についてはどのように判断することになるのでしょうか。

Answer 

連結納税制度における繰延税金資産の回収可能性の判定についてまとめると、以下のとおりです。

  連結納税主体を含む
連結財務諸表
連結納税会社の
個別財務諸表
将来減算一時差異 連結納税主体の課税所得の見積額(以下「連結所得見積額」)に基づいて回収可能性を判断 各連結納税会社の課税所得の見積額(以下「個別所得見積額」)に基づいて判断し、回収可能性が認められないものについて連結所得見積額に基づき判断
連結
欠損金
特定連結欠損金が含まれていない場合 連結納税主体を一体とみなしたうえで回収可能性を判断(連結所得見積額に基づいて回収可能性を判断)
特定連結欠損金が含まれている場合(※) 連結納税主体を一体とみなしたうえで回収可能性を判断(連結所得見積額及び個別所得見積額の両方を考慮して回収可能性を判断

※ 特定連結欠損金は当該会社の個別所得を上限とするため、連結欠損金に特定連結欠損金が含まれている場合には、連結欠損金に係る繰延税金資産の連結納税主体における回収可能性を判断するにあたって、連結所得見積額と個別所得見積額の両方を考慮する必要があります。

 

参考

連結欠損金について
連結納税制度を適用すると、特定連結子法人の連結開始又は加入前7年以内に生じた欠損金額(これを「特定連結欠損金」といいます)について、その連結子法人の個別所得を限度として損金算入することができることとされています。ただし、連結納税主体を構成する各社との損益通算の対象とはなりません。連結欠損金額の繰越控除は、その連結欠損金額の生じた連結事業年度ごとに区分し、以下の順序で控除されます。

①最も古い連結事業年度の連結欠損金から順に控除
②同一の連結事業年度において、特定連結欠損金額とそれ以外の連結欠損金額がある場合には、まず特定連結欠損金額について、その特定連結子法人の個別所得金額を限度に繰越控除
③次に、特定連結欠損金額以外の連結欠損金額について、連結所得の金額の残額を限度に繰越控除

特定連結子法人について
特定連結子法人は、親法人による完全支配関係が長期間継続している子法人等といった、いわゆる時価評価除外法人と同様であり、以下のいずれかの要件を満たす法人です。

  • 親法人が株式移転により設立された法人であり、継続してその親法人に保有されている当該株式移転に係る株式移転完全子法人
  • 親法人に長期(5年超)保有されている100%子法人
  • 親法人又は100%子法人により設立された100%子法人
  • 適格株式交換による完全子法人
  • 適格合併、適格株式交換等による子法人で被合併法人、株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人が長期保有していた100%子法人
  • 法令の規定に基づく株式の買取り等により親法人の100%子法人となった法人

根拠条文、参照条文等

  • 「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」Q4
  • 「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」Q3

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