個別貸借対照表において「退職給付に係る負債」として表示することの可否

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

個別貸借対照表上と連結貸借対照表上で名称が異なることを避けるため、個別上、「退職給付引当金」を「退職給付に係る負債」として表示することはできるのでしょうか。または、連結上「退職給付に係る負債」等とされているので「退職給付引当金」として表示することはできるのでしょうか。

Answer 

退職給付会計基準では、当面の取扱いとして、個別貸借対照表上、退職給付債務に未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を加減した額から、年金資産の額を控除した額を「退職給付引当金」として固定負債に計上し、年金資産の額が退職給付債務に未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を加減した額を超える場合には、「前払年金費用」等の適当な科目をもって固定資産に計上することとされています。なお、会計基準変更時差異の未処理残高がある場合、退職給付適用指針130項に準じて、未認識項目にその分を加減するものと考えられます。

個別貸借対照表においては、従来と同様に未認識項目のオフバランス処理が継続することになりますが、「退職給付に係る負債」と「退職給付引当金」は単に名称が変更されたとみるべきではなく、未認識項目の取扱いが異なる結果、それぞれが示している内容そのものが異なります。したがって、個別貸借対照表上「退職給付に係る負債」という科目は使用できないと考えられます。

同様に、連結貸借対照表上も退職給付引当金という科目は使用できないと考えられます。なお、「退職給付に係る資産」と「前払年金費用」の科目についても同様です。この点に関して、財務諸表等規則及び連結財務諸表等規則においてもそれぞれの科目名が分けて用いられています。 また、退職給付に係る未認識数理計算上の差異、未認識過去勤務費用及び会計基準変更時差異の未処理額の会計処理の方法が連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なる場合には、その旨を記載するものとされています。

根拠条文

  • 退職給付に関する会計基準 第39項(1)、(3)
  • 財務諸表等規則ガイドライン8の2-10 2項

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