過去勤務費用および数理計算上の差異の費用処理年数の変更

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

過去勤務費用と数理計算上の差異の費用処理年数は、平均残存勤務期間以内であれば、発生年度ごとに変更することができますか。

Answer 

過去勤務費用と数理計算上の差異の費用処理年数の決定方法については、(1)~(3)のいずれかの方法を選択することが認められていますが、一度採用した方法については継続適用が求められており、原則として変更することはできません。また、(1)~(3)それぞれのケースにおける費用処理年数の変更についての考え方は、以下のとおりです。

(1)発生年度に全額を費用処理
費用処理年数の変更はあり得ません。

(2)平均残存勤務期間での費用処理
平均残存勤務期間が短縮されたときは、会計事実の変更に伴う見積もりの変更となります。

(3)平均残存勤務期間内の一定の年数での費用処理
費用処理年数を発生年度ごとに変更することはできず、原則としていったん採用した費用処理年数は、各期間を通じて継続して利用しなければなりません。
例外として、会計事実の変更による見積もりの変更として、費用処理年数の変更が認められるケースもありますが、これはリストラによる大量退職などにより、平均残存勤務期間が短縮したような場合に限定されるものと考えられます。また正当な理由により変更する場合には、会計方針の変更として取り扱われますが、単に経済環境の変化のみを理由とする費用処理年数の変更は認められないため、留意が必要です。

根拠条文

  • 退職給付会計に関する会計基準の適用指針第35項、第39項、第42項、第104項
  • 退職給付会計における未認識数理計算上の差異等の費用処理方法等の変更について(日本公認会計士協会・業務本部審理ニュース[No.6])

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