Question
連結会社と持分法適用会社との間の取引または持分法適用会社間取引に係る未実現損益は、連結上どのように処理すればよいでしょうか。
Answer
連結上は、持分法適用会社が取引等の買手側(①ダウンストリーム)、あるいは売手側(②アップストリーム)の場合に分けて、未実現損益を処理していきます。 ただし、未実現損失については、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しないものとされています。 また、未実現損益の金額に重要性が乏しい場合、これを消去しないとすることができます。
① ダウンストリームの場合
売手側である投資会社に生じた未実現損益は、買手側が非連結子会社である場合には全額消去し、関連会社である場合には原則として当該関連会社に対する投資会社の持分相当額(連結子会社の関連会社に売却した場合には、当該連結子会社の持分相当額)を消去しますが、状況から判断して他の株主の持分についても実質的に実現していないと判断される場合には全額消去します。
売手側である連結子会社に生じた未実現損益も、投資会社の場合と同様に処理します。この場合、消去した未実現損益のうち連結子会社の非支配株主持分に係る部分については、非支配株主に負担させます。
また、売手側である連結会社に生じた未実現損益の消去額は、売手側である連結会社の売上高等の損益項目と買手側である持分法適用会社に対する投資の額に加減します。ただし、前者について利害関係者の判断を著しく誤らせない場合には、当該金額を「持分法による投資損益」に加減することができます。
仕訳例
借方 | 貸方 | |
原則 | 売上高 | 投資有価証券 |
例外 ※1 | 持分法による投資損益 | 投資有価証券 |
消去金額
売手 | 買手 | 消去する未実現損益 |
投資会社 | 非連結子会社 | 全額消去 |
関連会社 | 投資会社の持分相当額を消去 ※2 | |
連結子会社の関連会社 | 連結子会社の持分相当額を消去 ※2 | |
連結子会社 | 非連結子会社 | 全額消去 連結子会社の非支配株主にも負担させる |
関連会社 | 連結子会社の持分相当額を消去 ※2 連結子会社の非支配株主にも負担させる |
② アップストリームの場合
持分法適用会社から連結会社に売却した場合の売手側である持分法適用会社に生じた未実現損益は、持分法適用会社に対する連結会社の持分相当額を消去します。
売手側である持分法適用会社に生じた未実現損益の連結会社の持分相当額は、「持分法による投資損益」と買手側である連結会社の未実現損益が含まれている資産の額に加減します。ただし、後者について利害関係者の判断を著しく誤らせない場合には、当該金額を持分法適用会社に対する投資の額に加減することができます。
持分法適用会社間の取引に係る未実現損益は、原則として「持分法による投資損益」と投資の額に加減します。
仕訳例
(買手が投資会社または連結子会社の場合)
借方 | 貸方 | |
原則 | 持分法による投資損益 | 棚卸資産等(未実現損益が含まれている資産) |
例外 ※1 | 持分法による投資損益 |
投資有価証券 |
(買手が他の持分法適用会社の場合)
借方 | 貸方 |
持分法による投資損益 | 投資有価証券 |
消去金額
売手 | 買手 | 消去する未実現損益 |
持分法適用会社 | 投資会社、連結子会社 | 持分法適用会社に対する連結会社の持分相当額を消去 |
他の持分法適用会社 | 持分法適用会社購入側と売却側の持分比率を乗じた持分相当額を消去 |
※1 利害関係者の判断を著しく誤らせない場合に認められます。
※2 他の株主に実質的な支配力はない等、状況から判断して他の株主持分についても実質的に実現していないと判断される場合には全額消去します。
根拠条文
- 持分法会計に関する実務指針 第11項~第13項、第37項