会計情報トピックス 大関康広
金融庁から平成27年9月4日に公表
平成27年9月4日に、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下「本改正」という。)が公布・施行されています。
本改正は、我が国によるIFRSに対する意見発信の一環として、平成27年6月30日に、企業会計基準委員会(ASBJ)が修正国際基準〈国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準〉(以下「修正国際基準」という。)の公表を行ったことを受け、修正国際基準の適用が制度上、可能となるよう、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「連結財務諸表規則」という。)等について、所要の改正等を行ったものです。
1. 改正された規則等
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
- 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 財務諸表等の監査証明に関する内閣府令
- 財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
- 企業内容等の開示に関する内閣府令
- 金融商品取引業等に関する内閣府令
- 銀行法施行規則
- 長期信用銀行法施行規則
- 信用金庫法施行規則
- 労働金庫法施行規則
- 協同組合による金融事業に関する法律施行規則
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件
- 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について
- 「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について
- 「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について
- 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」の取扱いに関する留意事項について
- 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について
- 企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)
- 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条に規定する指定国際会計基準に含まれる解釈指針について
2. 本改正の概要
(1)連結財務諸表規則等の改正
修正国際基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備しているなど、一定の要件を満たす株式会社が提出する連結財務諸表の用語、様式及び作成方法は、修正国際基準に従うことができることとする規定を新設するほか、所要の改正が行われています。
(2)企業内容等の開示に関する内閣府令の改正
修正国際基準により連結財務諸表を作成した場合には、その旨を、また、提出会社が修正国際基準に基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備を行っている場合には、その旨及びその体制の具体的な内容の記載を有価証券報告書に求めるほか、所要の改正が行われています。
(3)告示の改正及び指定
一定の日までに企業会計基準委員会(ASBJ)の名において公表が行われた修正国際基準が、金融庁長官が定める企業会計の基準とされています。
その他、金融庁関係内閣府令等につき、所要の改正が行われています。
3. 適用時期
公布の日(平成27年9月4日)から施行されています(修正国際基準に係る改正については、平成28年3月31日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表等について適用)
4. 公開草案からの主な変更点
文言等の軽微な変更に加え、以下の点が公開草案から変更されています。
- 第一四半期報告書に含まれる修正国際基準に準拠して作成された前年度の連結財務諸表も監査証明の対象とされることが規定されました(「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」第1条第1項第11の2号)。
- 指定国際会計基準適用会社と同様、修正国際基準適用会社においては、「他の法人等の意思決定機関を支配している法人等」を財務諸表等規則第8条第4項の規定によるもの(日本基準で判定された親会社)とはしないことが、銀行法施行規則等で明記されました(銀行法施行規則第13条の11第1項第1号他)。
- 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」の別表二(第三条関係)にある国際会計基準(IAS)第34号の表題が、「中間財務報告」から「期中財務報告」に改められました。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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