「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」のポイント

2014年7月1日
カテゴリー 会計情報トピックス

会計情報トピックス 西野恵子

企業会計基準委員会が平成26年6月30日に公表

平成26年6月30日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)が公表されました。

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に基づき実施する施策として、新たなスキームによるリース取引が導入されました。これを受けて、ASBJにおいて、本リース・スキームによるリース取引について、これまで公表されているリース取引の借手における会計処理を整理するとともに、必要と考えられる借手における会計処理等を明らかにすることを目的として、本リース・スキームに係る借手の会計処理及び開示の審議を行い、今般、実務対応報告の公表が承認されたため、公表されたものです。

1. 本実務対応報告の概要

(1)範囲

経済産業省が承認した「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」(平成26年3月3日制定)第3条第7号におけるリース契約に基づくリース取引であり、「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」(平成26年3月3日制定)第4の4に基づき基金設置法人とリース事業者(貸手)により締結された先端設備等導入支援契約に基づくもの(以下「本リース・スキーム」という。)に係る借手の会計処理及び開示等を対象とします。

(2)会計処理

①ファイナンス・リース取引の判定基準
  • 本リース・スキームにおいては、リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては、他のリース取引と同様に、企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下「リース適用指針」という。)第5項の要件に基づいて判定すべきであり、具体的な判定は、リース適用指針第9項に従います。
  • 再リースに係るリース期間又はリース料を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるかどうかについては、その他のリース取引と同様に、リース適用指針第11項及び第12項に従います。
  • 本リース・スキームにおいて、リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合(第3項(6)参照)、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行う。これ以外の場合、当該判定をリース期間中に再度行うことは要しません。
②変動リース料

本リース・スキームに係る変動リース料については、リース取引開始日において、借手により示されている合理的な想定稼働量を基礎とした金額により、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)及びリース適用指針に定めるリース料総額に含めて取り扱い、次のような場合に考慮されることとなります。

  • ファイナンス・リース取引の判定
  • ファイナンス・リース取引と判定された場合の、リース資産及びリース債務として計上する価額の算定
③その他の事項

本実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って会計処理します。

(3)開示

①変動型又はハイブリッド型のオペレーティング・リース取引に係る注記

変動型又はハイブリッド型の本リース・スキームについてオペレーティング・リース取引と判定された場合、リース会計基準第22項に定める解約不能のものに係る未経過リース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含めます。

②その他の事項(本公開草案第10項)

本公開草案に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って開示します。

2. 適用時期

公表日以後適用されます。

なお、本稿は本改正案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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