会計情報トピックス 山澤伸吾
企業会計基準委員会から平成25年7月11日に公表
平成25年7月11日に企業会計基準委員会(ASBJ)から「のれんの減損及び償却に関する質問票及び意見交換会に関するフィードバック文書」(以下「フィードバック文書」という。)が公表されました。
フィードバック文書は、IASBにおける今後のIFRS第3号「企業結合」の適用実績を踏まえた会計処理のあり方についての評価の取組みにおいて、のれんの会計処理に関する議論を促すことを目的としてASBJにより作成されました。
フィードバック文書は、のれんの減損及び償却に関する現行の取扱い、これまでの議論の背景、及びASBJがのれんに関するリサーチの一環で実施した、財務諸表作成者、財務諸表利用者、監査人、学術研究者に対する質問の回答や意見交換会の開催を通じて、我が国の関係者から入手した見解を取りまとめたものです。
質問への回答及び意見交換会において以下のような概ね共通の見解が示されています。
- のれんの減損損失の戻入れは行われるべきではない
- 非償却よりも、償却と減損を組み合わせる方法が減損テストに関する負荷を軽減させる
我が国におけるのれんの会計処理 | IFRSののれんの会計処理 | 米国会計基準ののれんの会計処理 |
20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他合理的な方法により規則的に償却する。 | 規則的な償却は行わない。 | 規則的な償却は行わない。 (ただし、非公開会社に対して、のれんを10年以内の期間にわたって償却する方法を認める基準改定提案を行っている) |
のれんに減損の兆候がある場合には、減損損失を認識するかどうかを判定する。 | 減損の兆候がなくても毎期最低でも1回減損テストを行う。 | 毎期最低でも1回減損テストを行う。ただし、定性的評価を実施した結果、要件を満たす場合には減損テストを省略することが可能。 |
(参考:日本と米国会計基準及びIFRSののれんの会計処理の差異)
なお、フィードバック文書は、我が国におけるのれんに関する会計処理の変更等を意図しているものではなく、また、ASBJの見解を示したものではないことにご留意ください。
本稿はフィードバック文書の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。