「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」のポイント

2013年7月3日
カテゴリー 会計情報トピックス

会計情報トピックス 矢島学

企業会計基準委員会から平成25年6月28日に公表

平成25年6月28日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」(以下「検討経過の取りまとめ」という。)が公表されました。以下では、そのポイントについて解説します。

1. 検討経過の取りまとめの位置づけ

ASBJは、平成18年2月の無形資産ワーキンググループの設置以来、国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)とのコンバージェンスという観点を念頭に置きつつ、無形資産に関する会計基準の検討を行ってきました。検討経過の取りまとめは、ASBJが行ってきた無形資産に関する会計基準の検討、特に、平成21年12月の「無形資産に関する論点の整理」(以下「論点整理」という。)公表以降に行ってきたASBJにおける審議の状況やリサーチ活動などの概要を取りまとめたものです。

2. 検討経過の取りまとめのポイント

検討経過の取りまとめは、以下のような構成となっています。

Ⅰ はじめに
Ⅱ これまでの検討経過
Ⅲ 個別論点の概要

  1. 無形資産の定義・認識要件
  2. 社内開発費の取扱い
  3. 企業結合時に識別される無形資産の取扱い
  4. 他社から研究開発の成果を個別に取得した場合の取扱い
  5. 耐用年数が確定できない無形資産の取扱い
  6. その他の論点
    (1)借地権の取扱い
    (2)繰延資産の取扱い

Ⅳ 別紙

別紙1 これまでの審議等の状況
別紙2 無形資産の会計基準比較表
別紙3 単体検討会議において示された意見
別紙4 IFRSにおける開発費に関する調査
別紙5 識別可能無形資産の事例

「Ⅱ これまでの検討経過」では、無形資産ワーキンググループの設置当時からの無形資産プロジェクトにおける検討経過が記載されています。結果的に、個別論点について現時点で一定の方向性を打ち出す状況には必ずしもないと考えられ、継続的な検討課題とされたことから、論点整理公表以降に検討してきた無形資産に関する諸論点について、将来の更なる検討に向けて、これまでの検討内容を検討経過として取りまとめておくこととしたとされています。

「Ⅲ 個別論点の概要」では、ASBJにおいて審議が行われてきた無形資産に関する個別論点ごとに、我が国の会計基準と国際的な会計基準における取扱い、及び論点として取り上げた理由(問題意識)やこれまでに示された意見や考え方を含む現在までの検討経過が記載されています。

「Ⅳ 別紙」では、無形資産プロジェクトのこれまでの検討状況を時系列的に整理した図(別紙1)やIFRS適用企業における開発費の資産計上の傾向の比較分析(別紙4)等の無形資産プロジェクトに関連した資料が添付されています。 

3. コメントの募集

検討経過の取りまとめは、ASBJにおける無形資産に関する今後の検討に資することを目的として作成されたものであり、論点整理や公開草案ではなく、コメントの募集は行われていません。

なお、本稿は検討経過の取りまとめの概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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